ハンガリー、ICC(国際刑事裁判所)脱退を撤回へ:新政権による国際社会への回帰
ハンガリー議会は今週水曜日、前政権が進めていた国際刑事裁判所(ICC)からの脱退プロセスを停止し、加盟を維持することを決定しました。この決定は、国際的な法の支配と人権保護への姿勢を改めて明確にするものとして注目を集めています。
急転した脱退プロセス:新政権の決断
今回の撤回は、今年4月の選挙で圧勝し、親EU(欧州連合)の姿勢を鮮明にしているペーテル・マジャール新首相による主導によるものです。脱退の効力発生期限である6月2日を目前に控え、議会は迅速な手続きで法案を可決しました。
- 投票結果:賛成133票、反対37票、棄権5票で可決
- 背景:前任のヴィクトル・オルバン政権が、ICCが「政治化している」として脱退を決定していた
- 今後の流れ:オルバン氏の盟友であるタマシュ・シュリョク大統領が署名することで正式に法制化される
「政治的な判断」から「人権の保護」へ
オルバン前政権が脱退に踏み切ったのは2025年4月のことでした。当時、ICCから逮捕状が出されていたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がハンガリーを公式訪問した際、ハンガリー側が逮捕を拒否し、裁判所の判断を「厚かましい」と批判したことが直接的な要因とされています。
一方、マジャール新政権が提出した法案では、次のような視点が示されています。
「国際的な平和と安全、そして人権の保護という観点から、最悪の国際犯罪を犯した者が国際裁判所で責任を問われることは必要である」
マジャール首相は、たとえネタニヤフ首相であっても、ICCの逮捕状を執行する意向を示しており、前政権とは対照的なアプローチを取っています。
国際刑事裁判所(ICC)とは何か
ICCは、個々の国家が裁判を行う意思がない、あるいは能力がない場合に、世界で最も重大な犯罪を裁くために2002年に設立された常設の裁判所です(オランダ・ハーグに本拠を置く)。
主に以下のような罪を対象としています:
- ジェノサイド(集団殺害罪)
- 人道に対する罪
- 戦争犯罪
現在までに125の国・地域が加盟していますが、実際に脱退したのはブルンジとフィリピンのみであり、ハンガリーが脱退していれば極めて稀な例となっていました。ICC側は今回のハンガリーの決定を「重要な決断」として歓迎しています。
一国のリーダーが変わることで、国際的な司法枠組みへの向き合い方がここまで劇的に変化する例は少なくありません。国家の主権と国際的な正義のバランスをどう取るかという問いは、いまも世界中で議論され続けています。
Reference(s):
Hungary parliament votes to stop Orban-initiated exit from ICC
cgtn.com



