アフリカでエボラ出血熱が拡大か。12カ国に波及の懸念と「ワクチンの不在」という課題 video poster
コンゴ民主共和国で発生したエボラ出血熱が、最大12カ国に広がる可能性があるとアフリカ疾病対策センター(Africa CDC)が警告しています。今回の流行は、約10年前に西アフリカを襲った大流行以来、2番目に大きな規模になる恐れがあり、国際的な警戒が高まっています。
初期対応を困難にした「型の違い」
今回の流行が表面化したのは5月5日のことでした。コンゴ民主共和国のイトゥリ州で最初の警戒信号が出ましたが、当初の検査ではウイルスが検出されませんでした。その理由は、現場のチームがより一般的である「ザイール型」のエボラウイルスを想定してスクリーニングを行っていたためです。
その後、サンプルが首都キンシャサに送られたことで、5月14日にようやく「ブンディブギョ型」であることが判明しました。隣国ウガンダでも症例が確認されたことを受け、Africa CDCと地域政府は正式にアウトブレイク(集団発生)を宣言しました。
19年経ってもないワクチンという現実
今回検出された「ブンディブギョ型」は、約20年前に初めて特定されたウイルスですが、主流のザイール型に比べて研究が進んでいません。そして最大の問題は、現在この型に対する承認済みワクチンや標的治療薬が存在しないことです。
Africa CDCのジャン・カセヤ事務局長は、この状況に強い懸念を表明しています。
- 「この型が発見されてから19年が経つのに、まだワクチンがないのは、それがアフリカで発生したウイルスだからだ」
- 「もしブンディブギョ型がヨーロッパや米国で発生していたら、間違いなくワクチンは用意されていたはずだ」
世界保健機関(WHO)も、資金不足への懸念とともに、国境を越えた感染拡大のリスクについて警鐘を鳴らしています。
蓄積された経験で封じ込めに挑む
厳しい状況にある一方で、アフリカの保健システムは以前の流行時よりもはるかに高い経験値を備えています。世界的なエボラ研究の権威であるコンゴのジャン=ジャック・ムイエンベ博士をはじめ、大陸全体に専門的な知見が蓄積されています。
現在、東アフリカおよび中央アフリカの保健当局は、以下のような対策を強化しています。
- 国境監視の徹底
- 隔離プロトコルの厳格化
- 地域社会での接触者追跡(コンタクトトレーシング)の加速
「私たちは専門知識を持っており、何をすべきかを知っている」とカセヤ事務局長は述べています。過去の教訓を活かした公衆衛生上の措置を講じながら、同時にワクチンの開発を急ぐという困難な戦いが続いています。地域の地理的な境界を越えたウイルスの拡大を防げるか、世界的な連携が問われています。
Reference(s):
Africa CDC warns ebola outbreak could spread to 12 countries
cgtn.com