米司法省、18億ドルの「武器化対策基金」を断念 共和党の反発と司法判断が影響
米国司法省は、政府による「武器化」の被害者を救済するための約18億ドル(約2,800億円)規模の基金計画を断念しました。この決定は、共和党議員による強い政治的な反発と、連邦裁判所による法的な差し止めという二つの大きな壁に直面した結果です。
基金断念の経緯
トッド・ブランシュ司法長官代行は、下院予算特別委員会の公聴会において、「この基金を推進することはない」と明言しました。これにより、物議を醸していた巨額の救済策は事実上、白紙となった形です。
「武器化対策基金」とは何だったのか
もともとこの基金は、政府による「武器化」や「法戦(lawfare)」の被害を訴える個人を補償するために設計されました。具体的には、以下のような背景がありました。
- 目的: 政府機関が政治的な意図を持って法執行を利用し、特定の個人を攻撃したとされる場合の救済。
- 発端: ドナルド・トランプ前大統領が、自身の納税記録を無断で公開したとして内国歳入庁(IRS)を相手に起こした訴訟に関連する和解案から派生したもの。
政治的・法的なハードル
計画が頓挫した背景には、行政・立法・司法の複雑な駆け引きがありました。
まず政治面では、共和党の上院議員たちがホワイトハウスに対し、この基金を抜本的に見直すか、あるいは完全にキャンセルしない限り、現在審議中の移民執行パッケージを支持しないという強い姿勢を示していました。
さらに法的な決定打となったのが、司法の判断です。5月29日、連邦裁判所の判事は、トランプ政権によるこの基金の運用を差し止める決定を下しました。政治的な合意形成に苦慮するなか、司法によるストップがかかったことで、司法省は断念を選択したと考えられます。
政府による権限行使の妥当性を巡る議論は、米国内で非常に激しいものとなっています。今回の決定は、巨額の公金投入を伴う政策であっても、議会の予算権限や司法のチェック機能によって修正を余儀なくされるという、米国の権力分立のダイナミズムを象徴する事例といえるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com



