産業革命以来の転換点か?経済学者ブランコ・ミラノビッチが説く「世界経済の再編」 video poster
世界経済のあり方が、根本から書き換えられようとしています。いま私たちが直面しているのは、単なる景気変動ではなく、歴史的な構造の変化なのかもしれません。
経済学者のブランコ・ミラノビッチ氏は、著書『The Great Global Transformation(大いなる世界的転換)』の中で、私たちは現在、新しい経済的世界秩序の台頭の中にあり、産業革命以来、最大規模の「世界的な所得の再編」を目撃していると論じています。
産業革命以来の「所得再編」とは何か
ミラノビッチ氏が指摘するのは、国と国との間、あるいは社会の中での所得の配分バランスが劇的に変化しているという点です。かつての経済成長のパターンが通用しなくなり、富の集中や分散のメカニズムが根本的に変わろうとしています。
この「再編」が意味するのは、単に一部の国が豊かになり、他が貧しくなるということではありません。むしろ、以下のような構造的な変化を含んでいます。
- 経済的影響力のシフト:伝統的な経済大国から、新たな成長センターへの権力移動。
- 所得分配のメカニズムの変化:テクノロジーやグローバル化の進展による、新たな格差の発生と解消。
- 生活水準の再定義:世界的な所得の塗り替えが、個人の生活や価値観に与える影響。
崩れゆく「新自由主義」と、その先に待つもの
これまで数十年の間、世界経済を主導してきたのは、市場原理を重視する「新自由主義(ネオリベラリズム)」的な秩序でした。しかし、ミラノビッチ氏は、この古い秩序が崩壊しつつあると分析します。
では、その空白を埋めるのはどのようなシステムなのでしょうか。それは単に過去への回帰ではなく、現代の複雑な相互依存関係とデジタル経済を前提とした、全く新しい秩序であると考えられます。
私たちは今、古い地図が役に立たなくなり、新しい地図を書き直している真っ只中にいると言えるでしょう。この移行期において、経済的な安定をどのように確保し、どのような公正さを追求すべきなのかという問いが、改めて重要になっています。
世界的な所得の再編という大きなうねりの中で、私たちの日常や、次世代が生きる社会の景色はどう変わっていくのか。静かに、しかし確実に進むこの転換点について、改めて考える時期に来ているのかもしれません。
Reference(s):
Branko Milanovic on the Great Global Transformation – The Agenda
cgtn.com