マレーシア首相「BRICSはグローバルサウスの結束した力」 ASEANの役割は? video poster
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相が、国際ニュースの焦点となるBRICSとグローバルサウス、そしてASEANの位置づけについて注目発言をしました。BRICSを「グローバルサウスの結束した力」と評価しつつ、ASEANは引き続き貿易ブロックとして「中核的な役割」を維持すると強調しています。2025年現在、世界経済の重心が多極化する中で、この発言は新興国同士の連携のあり方を考える重要なヒントになります。
要点整理:アンワル首相が語った三つのメッセージ
- ASEANは依然として「中核性」を持つ貿易ブロックとして、あらゆる国と関与していくべきだと強調
- BRICSは、グローバルサウスにおける「結束した力」としての新しいイニシアチブだと位置づけ
- 共通の利益を守るには集団的な交渉と保護が必要であり、そのうえで他の国や枠組みとの協力も不可欠と指摘
BRICSはグローバルサウスの「結束した力」
アンワル首相は、BRICSをグローバルサウスにとっての新しい「結束した力」と表現しました。グローバルサウスとは、おおまかに言えば新興国や途上国を指す言葉で、これらの国々は共通して次のような課題に直面しています。
- 貿易や投資のルール作りで、十分な発言力を持ちにくい
- 開発資金や気候変動への対応などで先進国に依存しやすい構造
- 資源・エネルギー・食料などをめぐる価格変動の影響を受けやすい
こうした中で、アンワル首相は、グローバルサウスには「多くの共通の利益があり、それを守るためには集団的な交渉と保護が必要だ」と指摘しています。BRICSは、まさにその集団的な交渉の場として機能し得るとみていると言えます。
ASEANの「中核性」は揺らがないというメッセージ
一方でアンワル首相は、ASEANについて「貿易ブロックとしての中核性を維持し、あらゆる国と関与していく」と述べています。ここには、次のようなメッセージが込められていると考えられます。
- BRICSの存在感が高まっても、ASEANが周辺的な存在に追いやられるわけではない
- ASEANは特定の陣営に偏らず、幅広い国とバランスよく関係を築く「ハブ」として機能する
- 地域の安定と経済成長のために、ASEAN自身が主体性を保つ必要がある
言い換えれば、アンワル首相は「BRICSの台頭」と「ASEANの中核性」は二者択一ではなく、両立し得るとみていることになります。
共通の利益をめぐる「集団的交渉」とは何か
アンワル首相は、グローバルサウスには共通の利益があり、それを守るには集団的な交渉と保護が必要だと述べました。この「共通の利益」とは、例えば次のようなテーマがイメージできます。
- 公正な貿易ルールや関税のあり方
- 開発資金やインフラ投資の条件
- 気候変動対策とエネルギー転換の負担の分担
- デジタル経済やデータ流通のルールづくり
単独の国として交渉するのではなく、複数の国がまとまりとして交渉に臨むことで、より有利な条件を引き出しやすくなります。アンワル首相がBRICSを評価する背景には、こうした「交渉力の底上げ」への期待があると考えられます。
協力は「ゼロサム」ではないという視点
興味深いのは、アンワル首相がBRICSを評価しながらも、「同時に他の国々とも協力していく必要がある」と強調している点です。これは、国際秩序を「どこか一つのグループが他を打ち負かすもの」としてではなく、複数の枠組みが重なり合いながら協力するものとして捉えている姿勢と言えます。
すなわち、
- BRICSはグローバルサウスの交渉力を高める場
- ASEANは地域と世界をつなぐ経済と外交のハブ
- そのうえで、他の国や地域とも協調していく
という「多層的なネットワーク」のイメージです。この視点は、多極化が進む2025年の国際情勢を読み解くうえで重要なキーワードになりそうです。
日本と東アジアの読者にとっての意味
日本や東アジアの読者にとって、アンワル首相の発言は次のような問いを投げかけています。
- 今後のグローバルサウスとの関係を、どの枠組みを軸に考えるのか
- ASEANをパートナーとしてどう位置づけるのか
- BRICSの動きをどのようにキャッチアップし、対話のチャンネルを維持するのか
とくに、ASEANを重視してきた日本にとって、ASEANが「中核性」を維持しつつBRICSのような枠組みとも並行して動いていくという見方は、今後の外交・経済戦略を考えるうえで重要な示唆を含んでいます。
これからのグローバルサウスをどう見るか
アンワル首相の発言は、グローバルサウスをめぐる国際ニュースを読む際に、単純な対立構図ではなく、「どの国が、どの枠組みを、どのように組み合わせているのか」という視点を持つことの大切さを教えてくれます。
BRICSとASEANという二つの枠組みを対立ではなく補完関係としてとらえる見方は、多極化する世界を理解するための一つの手がかりと言えるでしょう。
本記事は2025年12月8日時点の情報に基づいています。
Reference(s):
Malaysia PM: BRICS represents a cohesive force within Global South
cgtn.com








