米国の関税が自国企業を直撃 GM・ステランティスに巨額損失
2025年の米国の関税強化が、狙いとした海外企業だけでなく、自国の大企業の利益を圧迫していることが最新の決算から見えてきました。米国経済や国際ニュースとしても見逃せない動きです。
Q2決算で浮き彫りになった「関税コスト」
2025年第2四半期(Q2)の決算発表では、複数の米国大手企業が関税負担による損失を報告しています。
- ゼネラル・モーターズ(GM)は、四半期ベースで11億ドルの損失を関税政策に起因すると説明し、純利益は前年同期比35.4%減の19億ドルに落ち込みました。
- 自動車メーカーのステランティスも、関税の影響により上期(第1四半期+第2四半期)の損失が最大27億ドルに達する可能性があると警告しています。
さらに、シティバンクの経済分析チームは、新たな関税の引き上げが進めば、幅広い業種で企業の利益率を一段と押し下げる恐れがあると指摘しています。
なぜ「狙った相手」ではなく自国企業が苦しむのか
関税は本来、輸入品に税金をかけることで自国産業を守るための政策です。しかし、今回の米国の関税強化は、自国の企業にも次のような形で跳ね返っています。
- 輸入部品・原材料のコスト上昇により、製造コストが増加
- コスト転嫁の難しさから、販売価格を大きく引き上げられず、利益率が低下
- 報復的な関税措置により、輸出市場での競争力が低下
- 先行きの不透明感から、企業が投資や雇用に慎重になる
今回のGMやステランティスの決算は、こうした「ブーメラン効果」が現実になっていることを象徴していると言えます。
金融セクターも無傷ではない
関税の影響は製造業にとどまりません。シティバンクの経済分析チームは、新たな関税のエスカレーション(段階的な引き上げ)が続けば、金融を含む幅広いセクターで企業の利益率が圧迫されると警鐘を鳴らしています。
関税で企業収益が細れば、企業向け融資の需要や健全性が低下し、株価下落を通じて金融市場にも波及する可能性があります。つまり、「関税=製造業だけの問題」とは言えない状況になりつつあります。
日本と世界経済への含意
米国は世界最大級の消費市場であり、日本企業にとっても重要な輸出先です。米国企業の利益が関税によって圧迫されれば、次のような形で日本や世界経済にも影響が及ぶ可能性があります。
- 米国景気の減速を通じた日本企業の輸出減少
- 自動車・半導体などグローバルなサプライチェーン(供給網)の混乱
- 為替や株価の変動拡大による市場の不安定化
同時に、一部の企業にとっては、サプライチェーン再編の中で新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もあります。関税リスクをどう織り込み、どこまで多様な市場や生産拠点を持てるかが、今後の重要なテーマになりそうです。
「関税頼み」の政策はどこまで持続可能か
今回の決算が示しているのは、関税を通じて相手国に圧力をかける政策が、自国の企業・家計にとってもコストになるという現実です。短期的には政治的なアピールになり得ますが、長期的には企業の収益力や投資意欲をそぐリスクがあります。
米国の関税政策が今後見直されるのか、それともさらに強化されるのかは、2025年後半の国内政治や国際交渉の行方と深く結びついています。今回のGMやステランティスの数字は、その議論に具体的な材料を提供していると言えるでしょう。
日本を含む各国の企業や投資家にとっても、「関税リスク」を前提とした中長期戦略づくりが、これまで以上に重要になっています。
Reference(s):
cgtn.com








