中国企業が中東のエネルギー転換で存在感、太陽光・蓄電池で現地化加速
中東のエネルギー転換(脱炭素に向けた電源の切り替え)で、中国の新エネルギー企業が「輸出」から「現地パートナー」へと動きを強めています。2025年にかけて、太陽光や蓄電池を軸に、工場建設や地域拠点づくりが相次いでいる点が注目されます。
輸出の「新三様」が、中東の協力の柱に
電気自動車(EV)、リチウムイオン電池、太陽電池(ソーラーセル)は、中国の輸出で「新三様」と呼ばれる成長分野です。これらのグリーン分野は、中国とアラブ諸国の協力でも存在感を増しており、中国の新エネルギー企業が中東で戦略的な展開を広げています。
- EV:移動の電動化を支える完成車・関連技術
- リチウムイオン電池:蓄電池・電池システム(BESSなど)の中核
- 太陽電池:太陽光発電の主要部材
太陽光の大型案件:UAEとサウジで進む建設
UAE(アラブ首長国連邦)ドバイの「モハメド・ビン・ラシッド・アル・マクトゥーム・ソーラーパーク」は、世界最大級の単一サイト太陽光発電所の一つとされます。このプロジェクトの第4期は上海電気(Shanghai Electric)が建設を担いました。
さらに上海電気は、サウジアラビア東部のスデイル太陽光(PV)プロジェクトも手がけています。完成すれば、地域の約70万世帯の電力需要を賄う見込みだとされています。
「売る」だけでなく「作る」へ:サプライチェーンの現地化
中東で目立つのは、設備やサービスの提供に加えて、サプライチェーン(調達・製造・供給網)を地域内に組み立てようとする動きです。上海電気は2025年4月、オマーンのMawarid Groupと包括的な協力パッケージに合意し、風力発電の供給枠組み契約、技術ライセンス、現地工場の設計などを進めるとしました。
上海電気発電エンジニアリングの副総経理・孟東海氏は、同社の先進的な製造力と産業知見を通じて、中東のエネルギー転換を後押ししたいという趣旨を述べています。
蓄電池・太陽光でも拠点整備が進行
企業の関わり方は一つではありません。技術の輸出、現地工場への投資、地域統括拠点(地域本部)の設置など、多面的に展開されています。
CATL:UAEの地域ハブとサウジのサービス拠点
電池大手の寧徳時代(CATL)は、2025年にUAEで地域ハブを登録しました。さらに同社はサウジアラビアでサービスセンターを新たに公開し、中国国外では4番目の拠点だと、CATLの中東BESS事業責任者・翁奎氏は説明しています。
通威(Tongwei):日射条件が追い風、太陽光の「自然な市場」
通威は中東を太陽光(PV)発展の有望市場として重視しています。海外モジュール事業を統括する陳方舟氏は、中東が豊富な自然資源、とりわけ良好な日射量(太陽光の当たりやすさ)に恵まれている点を理由に挙げています。
トリナ・ソーラー:サウジ工場が2025年1〜3月期に稼働
太陽光大手のトリナ・ソーラー(Trina Solar)は、サウジアラビアに建設した工場を2025年第1四半期(1〜3月期)に稼働させました。同社にとって世界で4番目の製造拠点となります。太陽光生産部門の社長・倪莉莉氏は、中東を「フロンティア拠点」と位置づけ、優れた太陽光資源と潤沢な資金力が市場の魅力を高めているという見方を示しています。
中東のエネルギー転換で問われる「パートナー像」
2025年にかけての動きから見えてくるのは、中国の新エネルギー企業が、中東で単なる輸出企業としてではなく、工場や拠点を構え、運用や保守まで含めて関与する「協働型」へと軸足を移している点です。エネルギー転換が“設備を入れる”段階から“長期で回す”段階へ移るほど、こうした現地化の重みは増していきます。
中東各地で進む太陽光・風力・蓄電池の整備は、電力の安定供給や産業育成にも直結します。今後、どの分野で、どのような形で協力の深さが試されていくのか——静かな競争と協調の行方に注目が集まりそうです。
Reference(s):
China's increasingly important role in Middle East energy transition
cgtn.com








