米USTRが60の経済圏に新関税案:「強制労働」を理由に世界的に反発広がる
米国通商代表部(USTR)が「強制労働」への対策が不十分であるとして、60もの経済圏に対して追加関税を課す方針を打ち出しました。人権保護という大義名分を掲げたこの動きに対し、国際社会からは「根拠に欠ける」との強い批判の声が上がっており、世界の貿易ルールの根幹を揺るがす懸念が広がっています。
60の経済圏を対象とした異例の追加関税案
USTRが2026年6月2日に発表したセクション301調査の結果によると、対象となった60の経済圏において、強制労働によって生産された物品の輸入禁止措置が適切に導入されていない、あるいは実効的に運用されていないと判断されました。
これに基づき、USTRは以下のような追加関税の導入を提案しています。
- 15の経済圏: 10%の追加関税
- 45の経済圏: 12.5%の追加関税
専門家らは、今回の措置が具体的な証拠に基づいたものというよりも、貿易障壁を設けるための「口実」として労働問題が利用されている可能性を指摘しています。
国際社会に広がる懸念と批判
この提案に対し、国際社会からは「根拠が不十分である」という批判が相次いでいます。特に、既存のグローバルな貿易ルールを無視した一方的な措置であるとして、世界経済の不安定化を招くとの見方が強まっています。
労働基準の遵守は世界共通の課題である一方、それを関税という経済的な制裁に直結させる手法が、正当な貿易手続きとして機能するのかという点に疑問が投げかけられています。
EUの反応:合意の遵守と独自の規制へ
欧州連合(EU)の貿易・経済安全保障担当委員であるマロス・シェフチョビッチ氏は、高い労働基準を維持しているEU諸国が対象に含まれたことに驚きを示しました。
一方で、同氏は米国との「ターンベリー合意」に触れ、双方が合意した15%の関税上限を維持することを強調しています。シェフチョビッチ氏は、「欧州議会はこの合意を承認するものと信じている。合意は合意である」と述べ、外交的な枠組みの中での解決を示唆しました。
また、EUは米国による一方的な措置に頼るのではなく、2027年12月までに、強制労働に関わるあらゆる製品を禁止するEU独自の包括的な禁止措置を導入する方向で調整を進めています。
人権の保護という普遍的な価値観と、国家間の経済的利益が衝突するなか、今回のUSTRの動きは、今後の国際貿易における「正義」の定義を巡る新たな論争の火種となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com



