中国人民銀行が19ヶ月連続の金買い、世界的に「金」が米国債を上回る準備資産に
世界的な通貨戦略の転換期が訪れているのかもしれません。中国人民銀行が2026年5月も金(ゴールド)の買い増しを継続し、19ヶ月連続という異例の買い入れペースを維持していることが明らかになりました。
中国人民銀行による金買いの現状
中国人民銀行が2026年6月7日に発表した最新データによると、5月中に32万オンスの金を買い増し、保有量は合計7,496万オンス(約2,332トン)に達しました。また、5月末時点での中国の総外貨準備高は3.44兆ドルを記録しています。
世界的な「脱ドル」と資産構成の変化
この動きは中国一国にとどまらず、世界的なトレンドの一部であると言えます。欧州中央銀行(ECB)が6月2日に発表した年次報告書では、世界の準備資産における構造的な変化が浮き彫りになりました。
- 金の比率: 2025年末時点で、世界全体の公式準備資産の27%を金が占めました。
- 米国債の比率: 一方で米国財務省証券(米国債)の比率は25%から22%へと低下しました。
準備資産の最大構成要素として、金が米国債を上回ったのは史上初めてのことです。これは、単一の通貨への依存を避け、分散投資を追求する世界的な戦略シフトを反映しています。
戦略的資源としての「金」への視点
なぜ今、これほどまでに金が重視されるのでしょうか。国信先物のチーフアナリストである顧風達(グ・フォンダー)氏は、ビジネス誌『財経』のインタビューに対し、これは単なる資産構成の調整ではなく、「戦略的資源としての前向きな配置」であると分析しています。
顧氏は、以下のポイントを挙げています。
- 価値の追求: 現在の金価格は中央銀行にとって価値が高く、短期的な価格変動でこの蓄積トレンドが覆ることはない。
- 強固な基盤: 中国本土が持つ完全な産業システム、巨大な国内市場、そして十分な外貨準備高が、強力なバッファー(緩衝材)として機能している。
- 長期的な視点: 金を短期的な流動性ツールではなく、長期的な「戦略的資産」として扱う十分な政策的余裕がある。
通貨の価値や国際政治の枠組みが揺れ動く中で、実物資産である金に価値を置く動きは、世界的なリスクヘッジの一環として定着しつつあるようです。
Reference(s):
China's central bank extends gold-buying streak to 19th straight month
cgtn.com