北京・双秀公園に見る中国庭園と日本庭園の出会い video poster
北京の北三環路近くにある双秀公園は、一つの公園の中で中国庭園と日本庭園という二つの造園文化が出会う、少し不思議な都市空間です。1984年に文化的な友好の象徴として整備されたこの場所は、めまぐるしく変化する2025年の北京においても、静かに東アジアの「庭の思想」を映し続けています。
北三環路そばの「静かな交差点」
北京の北三環路のすぐ近くに位置する双秀公園は、交通量の多い幹線道路から少し離れただけで、都市の喧騒がふっと遠のく空間です。1984年に文化的な友好の象徴として整備されたこの公園には、中国と日本という二つの庭園様式が、隣り合うかたちで息づいています。
園内には、伝統的な中国庭園のエリアと、日本庭園のエリアがはっきりと区切られて存在します。それぞれの空間に込められたデザインの思想や風景のつくり方が対照的でありながら、全体として一つの公園として調和している点が、この場所の大きな特徴です。
中国庭園:曲がりくねる小径と優雅なあずまや
双秀公園の中国庭園は、伝統的な中国の園林文化を思わせるつくりになっています。園路はまっすぐではなく、あえて曲がりくねらせることで、歩く人の視線を少しずつ変え、風景が移り変わっていくように設計されています。
ところどころに設けられた優雅なあずまやは、ただの休憩場所ではありません。屋根や柱のライン、周囲の水や樹木との取り合わせによって、「自然と人がともにある」状態を静かに表現しています。ベンチに腰かけると、遠くの高層ビルではなく、身近な水面や枝葉に自然と目が向くような構成です。
日本庭園:中根金作によるミニマルな構成
もう一方の日本庭園エリアは、著名な造園家である中根金作が設計を手がけました。そこでは、中国庭園の豊かな装飾性とは対照的に、要素を最小限に絞り込んだミニマルな世界が広がります。
中心となるのは、石組みと池、それらを静かにつなぐ木橋です。岩の配置や水面の形は、実際の山や川を象徴的に凝縮したもので、限られたスペースのなかで広がりを感じさせる構図になっています。見る位置を少し変えるだけで、同じ石や水がまったく違う景色に見えるよう緻密に計算されたデザインです。
一つの公園で体験する「二つのまなざし」
双秀公園の興味深さは、中国庭園と日本庭園を「どちらか一方」ではなく、「行き来しながら」体験できる点にあります。同じ都市の、同じ空の下にありながら、歩みを進めるにつれて、自然の見え方が少しずつ変わっていくのです。
違いから見えてくる共通点
- 中国庭園エリアでは、曲線的な園路とあずまやを通して、風景を「包み込む」ように楽しむ視点が強調されています。
- 日本庭園エリアでは、石や水、木橋といった限られた要素を通じて、自然を「切り取る」ように味わうまなざしが際立ちます。
- どちらの庭園も、人が自然の一部としてそこに存在することを前提に、静けさや余白を大切にしている点では共通しています。
変わり続ける都市に残る「静かな対話の場」
1984年に生まれた双秀公園は、それから40年あまりのあいだに、周囲の都市環境が大きく変わるのを見てきました。それでも、公園の中に入ると、石や水、木といったスケールの小さな要素が、時代のスピードとは別のリズムで佇んでいます。
中国庭園と日本庭園という二つの様式が一つの公園に並ぶ構成は、文化が対立するのではなく、隣り合いながらもそれぞれのやり方で自然を見つめている姿を具体的に示しています。忙しい日常のなかでこうした場所を訪れることは、国や言葉の違いを超えて共有できる感覚があるのだと、静かに思い出させてくれる体験でもあります。
北三環路の近くという都市のまんなかに位置しながら、双秀公園は、東アジアの庭園文化が交差する「小さな窓」のような存在です。ニュースや外交とは別のレベルで続いてきた文化の交流を、足元の風景から考えてみるきっかけを与えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








