中国・三都澳の漁村、World Ocean Dayに見る持続可能な海への転換 video poster
2025年のWorld Ocean Dayをきっかけに、中国本土(中国)福建省寧徳市の三都澳という漁村が改めて注目されています。中国の大型黄魚の故郷として知られるこの歴史ある「海に浮かぶ漁村」が、海を守りながら暮らしを続けるために、持続可能な漁業への転換を進めているからです。
三都澳とは? 海に浮かぶ歴史ある漁村
三都澳は、福建省寧徳市沿岸に広がる、伝統的な海洋養殖で知られる漁村です。いくつものいかだや養殖施設が海面に並び、まるで村全体が海に浮かんでいるような独特の景観をつくっています。
ここは、中国で親しまれてきた大型の黄魚(large yellow croaker)の「故郷」としても知られ、海に依存した暮らしと文化が長年続いてきました。海とともに生きてきたコミュニティだからこそ、海の環境変化には敏感でいざるを得ません。
World Ocean Dayが照らす「持続可能な転換」
World Ocean Dayは、世界の海の現状を見つめ直し、海洋保護への意識を高めるための日です。今年、この日を祝う動きの中で、三都澳の取り組みが一つの象徴として語られています。
三都澳では現在、従来の漁業・養殖に使われてきた浮きや資材を、より環境に優しい素材へと少しずつ切り替えています。変化は一気にではなく、「徐々に」「段階的に」進められているのが特徴です。
従来の浮きからエコ素材へ
海に浮かぶいかだや養殖施設には、多くの浮きや資材が欠かせません。三都澳では、これまで長く使われてきた従来型の浮きや素材を見直し、海洋環境への負荷が小さいとされる、よりエコな代替品に置き換え始めています。
こうした変更によって狙われているのは、次のような効果です。
- 海中に残るごみや破片を減らし、海洋生態系への影響を抑えること
- 長期的に見て、より安定した養殖環境をつくること
- 村の漁業を未来世代まで続けられる形に整えていくこと
暮らしと仕事を両立させる試み
三都澳の人々にとって、海は職場であると同時に生活の場でもあります。環境に配慮することは重要ですが、それだけでは日々の生計が成り立ちません。今回の変化は、環境保護と暮らしの維持を両立させる試みとして位置づけられています。
浮きや資材をより環境に優しいものへ切り替えることは、海洋生態系を守るだけでなく、漁業そのものを長く続けるための「投資」としても考えられています。World Ocean Dayを通じて、その姿が外からも見えるようになりつつあります。
海洋生態系と沿岸コミュニティを守るという視点
三都澳で進む変化は、単に一つの村の設備更新ではありません。そこには、次の二つの課題を同時に解こうとする視点があります。
- 海洋生態系を守ること
- 沿岸コミュニティの暮らしと仕事を守ること
海の環境が悪化すれば、養殖や漁業は立ち行かなくなります。一方で、急激に制限を強めれば、村の経済や雇用が不安定になりかねません。三都澳が選んだ「徐々に、しかし確実にエコな資材へ移行する」という道は、そのバランスを取ろうとする現実的なアプローチと言えます。
この動きは、海沿いで暮らすコミュニティが、自らの手で環境と経済の両方を守ろうとする広い流れの一部でもあります。World Ocean Dayに合わせて三都澳が取り上げられるのは、その象徴的な事例だからです。
なぜ今、このニュースに注目するのか
海洋プラスチックや資源枯渇といった課題が語られる中で、国際ニュースとしての「海洋保護」は、ともすると大規模な国際会議や条約の話になりがちです。しかし、三都澳のような現場レベルの変化こそが、実際に海の姿を変えていきます。
今回の三都澳の事例から見えるポイントを整理すると、次のようになります。
- 歴史ある漁村が、自らの文化と仕事を守るために変わり始めていること
- 環境負荷の小さい資材への転換が、海洋生態系の保護と結びついていること
- その動きが、World Ocean Dayという国際的な文脈の中で注目されていること
つまり、持続可能な海を考えるうえで重要なのは、「どこか遠くの海の話」ではなく、具体的な地域での小さな変化が積み重なっているという視点です。
私たちの暮らしとのつながりを考える
三都澳の取り組みは、日本から見ると遠い地域のニュースかもしれません。しかし、海産物を日常的に消費する私たちの暮らしは、想像以上に世界各地の沿岸コミュニティとつながっています。
今回のニュースは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 私たちが選ぶ水産物は、どのような環境のもとで育てられているのか
- 海とともに生きる人々の暮らしを、どのような形で支えられるのか
- 海洋保護と地域経済の両立は、他の地域でどのように進んでいるのか
三都澳の漁村で進む「静かな転換」は、海と人間社会の関係をアップデートしようとする試みの一つです。World Ocean Dayをきっかけに、海と私たちの日常のつながりを改めて見つめ直すタイミングと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








