中国とブラジルが協力強化へ 王毅外相がBRICS連携とWTO改革を確認
2025年12月上旬、中国の王毅国務委員兼外交部長はブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相と電話会談を行い、中国とブラジルの関係が「歴史上もっとも良好な段階」にあると強調しました。両国は戦略的な相互信頼を深めつつ、BRICSや世界貿易機関(WTO)の改革を通じて、グローバルサウス諸国の声を国際社会に反映させていく方針を確認しました。
- 中国はブラジルとの戦略的相互信頼と相互支持を一層強化する方針
- ブラジルのBRICS議長国としての役割とリオデジャネイロ会合の成果を高く評価
- 一方主義や「いじめ行為」に対抗し、グローバルサウスとWTO改革を推進することで一致
王毅外相「中国・ブラジル関係は歴史上で最良の段階」
電話会談で王毅外相は、中国とブラジルの関係について「歴史上もっとも良好な段階にある」と述べ、現在の二国間関係を高く評価しました。そのうえで、中国はブラジルとの間で戦略的な相互信頼をさらに高め、国際社会で互いにしっかりと支持し合い、各分野での実務協力を一層深めていく用意があると強調しました。
王毅外相は、中国共産党中央委員会政治局委員としての立場も兼ねており、今回の発言は二国間関係だけでなく、今後の国際秩序を見据えたメッセージでもあるとみることができます。
BRICS議長国ブラジルを高く評価 グローバルサウスの結束を後押し
王毅外相は、ブラジルがBRICSの輪番議長国として務めた役割を高く評価しました。特に、リオデジャネイロで開かれたBRICS関連の首脳会合(リオデジャネイロ・サミット)を成功に導いたことを挙げ、グローバルサウス諸国の連帯と協力を前に進めたブラジルの努力に謝意を示しました。
BRICSは、新興国を中心とした協力枠組みとして、経済や金融、開発などの分野で連携を強めてきました。王毅外相の発言には、ブラジルと協力しながら、この枠組みを通じてグローバルサウスの存在感を一段と高めていきたいという意図がにじみます。
複雑化する国際情勢の中で 一方主義と「いじめ行為」に対抗
王毅外相は、現在の国際情勢が複雑な変化を遂げているとしたうえで、中国はブラジルと緊密に協調し、BRICS各国と共に「一方主義」と「いじめ行為」に対抗していく考えを示しました。
ここでいう一方主義とは、特定の国やグループが自らの立場だけを優先し、多国間のルールや合意を軽視する動きを指します。また「いじめ行為」は、一方的な制裁や経済的圧力などを念頭に置いた表現とみられます。
王毅外相は、こうした動きに対抗しながら、開発途上国や新興国を含む多くの国々の「正当な権利と利益」を守るとともに、国際社会のルール作りそのものを改善していく必要性を強調しました。
グローバルガバナンス改革とWTOの役割
王毅外相は、国際社会のルールや制度の在り方を示す「グローバルガバナンス」についても言及しました。中国は、ブラジルと連携しながら、グローバルガバナンス体制の改革と改善を進める考えです。これは、国際機関の意思決定過程や、世界経済のルールが、より多くの国と地域の現実を反映するようにしていくことを意味します。
これに呼応する形で、ヴィエイラ外相も、国際貿易が大きな不確実性に直面し、多国間主義が深刻な挑戦を受けている現状を指摘しました。その上で、BRICS諸国が緊密な協調を行うことは非常に重要だと強調しました。
ブラジル側は、中国や関係国と意思疎通と協調を一層強め、世界の多角的貿易体制を支える方法を探りつつ、世界貿易機関(WTO)の改革を進めていきたいと表明しました。
なぜWTO改革が重視されるのか
今回の電話会談の中で、ブラジル側が特に強調したのがWTO改革です。WTOは世界貿易の基本ルールを定める枠組みとして機能してきましたが、紛争解決手続きのあり方や、新しい分野のルール作りなどをめぐって議論が続いています。
グローバルサウス諸国や新興国にとって、WTO改革は次のような意味を持ちます。
- 貿易ルール作りの場で、自国の立場や発展段階をより反映させたい
- 一方的な制裁や貿易制限ではなく、多国間ルールに基づく紛争解決を重視したい
- デジタル経済や環境問題など新しいテーマにも、公平な形で関与したい
ブラジルは、こうした課題に対処するうえで、中国をはじめとしたBRICS諸国との連携を強めることで、多国間の枠組みを守りつつ、現実に即した改革を進めようとしているとみられます。
中国・ブラジル接近が示す国際秩序の変化
中国とブラジルの関係強化は、単なる二国間の友好を超え、次のような広い文脈の中で理解することができます。
- グローバルサウス諸国が、国際ルール作りでより大きな発言権を求めている
- BRICSが、金融や貿易だけでなく、ガバナンス改革の議論でも存在感を高めつつある
- 一方主義や分断ではなく、多国間協調を通じて紛争や経済問題に対処しようとする流れが続いている
今回の電話会談で改めて確認された「戦略的相互信頼」と「相互支持」は、中国とブラジルが、国際舞台で共通の課題に向き合うパートナーとしての関係を重視していることを映し出しています。
日本の読者にとっての意味 どこに注目すべきか
日本から見ると、中国とブラジルの動きは一見遠い話に感じられるかもしれません。しかし、今回のやり取りは日本の経済や外交にも間接的な影響を持ちうる重要なテーマを含んでいます。
- WTO改革や多角的貿易体制の行方は、日本企業の輸出入やサプライチェーンにも影響しうる
- グローバルサウスの結束が強まるほど、国連や国際金融機関などでの議論の力学が変化する可能性がある
- BRICSやグローバルサウスの視点を理解することは、日本外交が多国間の場で対話と協力を進めるうえで不可欠になりつつある
国際ニュースを日本語で追う私たちにとって、今回の中国・ブラジル間の電話会談は、「どのような国際秩序が公平と言えるのか」「多国間主義をどう守り、どうアップデートしていくのか」という問いを静かに投げかけています。
今後、BRICSやグローバルサウスの動きが、WTOをはじめとする国際機関の議論にどう反映されていくのか。ニュースの続報を追いつつ、自分なりの視点を持って見ていくことが求められていると言えそうです。
Reference(s):
Wang Yi: China ready to deepen practical cooperation with Brazil
cgtn.com








