王毅外相が日中協力の変革・高度化を提唱 東京で高級経済対話
中国の王毅外相は、東京で開かれた第6回日中高級経済対話で、日中経済協力の「変革」と「高度化」を呼びかけました。人工知能(AI)やデジタル経済、環境分野など新しい協力分野を軸に、日中関係をどのようにアップデートしていくのかが国際ニュースとして注目されています。
東京で第6回日中高級経済対話
週末に東京で行われた第6回日中高級経済対話には、中国の王毅外相と日本の岩屋毅外相が共同議長として出席しました。この対話は、日中関係のなかでも経済・貿易分野を包括的に話し合うハイレベルの枠組みです。
王外相は、今回の対話の目的について、両国の経済発展戦略やマクロ経済政策に関するコミュニケーションを強化し、従来型の協力の基盤を固めると同時に、新たな分野や新しい協力モデルを切り開くことだと説明しました。
300倍に拡大した貿易と累計1,400億ドル規模の投資
王外相によると、日中国交正常化以降、両国間の貿易は30倍ではなく300倍以上に拡大し、過去15年間にわたって年間3,000億ドル規模の高い水準を維持してきたといいます。累計の相互投資額も1,400億ドル近くに達していると説明しました。
こうした数字を示しながら、王外相は、日中の緊密な産業協力と経済利益の深い一体化が、両国の人びとにもたらした具体的な利益を強調しました。そのうえで、これは両国がライバルではなくパートナーであることの証拠だと指摘し、互いを分断するのではなく支え合うべきだと呼びかけました。
保護主義の台頭と「正しい相互認識」
王外相は、世界的に一方的な保護主義の動きが見られ、経済のグローバル化が逆風にさらされているとの認識も示しました。そのうえで、中国と日本は「正しい相互認識」を築き、責任ある態度を示しつつ、イノベーション(革新的な発想)を通じて共通の発展を模索すべきだと強調しました。
今回の高級経済対話で掲げられた主なポイントは次の通りです。
- 両国の経済発展戦略やマクロ経済政策についての意思疎通を強めること
- これまでの伝統的な協力分野の基盤をいっそう固めること
- 新しい分野や新しい協力モデルを積極的に開拓すること
AI・デジタル・環境での「革新的協力」
王外相は、日中間の経済・貿易協力の「変革」と「高度化」を加速させる必要があると述べ、企業同士の革新的な協力を後押しする考えを示しました。
具体的には、次のような分野での協力が提案されています。
- 人工知能(AI)
- デジタル経済
- 省エネルギー
- 環境保護
これらはいずれも、経済成長と同時に持続可能性が求められる時代において、日中双方にとって重要性が高まっているテーマです。日本企業にとっても、中国市場と連携した技術開発やサービス展開の余地が広がる可能性があります。
制度づくりと市場アクセスの拡大
王外相は、日中経済協力を支える制度面の整備も重視する姿勢を示しました。日中経済パートナーシップ協議など既存の作業メカニズムを十分に活用し、政府と企業のコミュニケーション・チャネル(対話の経路)を整備するよう呼びかけました。
あわせて、市場アクセス(市場参入機会)の拡大や、差別的な制限措置の撤廃にも取り組む必要があると指摘しました。これにより、企業が予見可能で安定した環境のもとで投資や事業展開を行いやすくなることが期待されます。
日中韓FTA交渉の早期再開とRCEPの高品質実施
地域経済秩序に関して、王外相は、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉を早期に再開する必要性を強調しました。そのうえで、地域的な包括的経済連携協定(RCEP)を高い水準で実施し、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のプロセスを進めていくべきだと述べました。
これらの枠組みは、アジア太平洋地域全体の貿易と投資のルールづくりに関わるものであり、日本や中国を含む国々と地域の経済関係に長期的な影響を与える可能性があります。
幅広いテーマで「広範な共通認識」
今回の高級経済対話では、マクロ経済政策、経済・貿易・投資、デジタル経済、グリーン成長、エコロジーと環境保護、文化交流、地域協力など、多くのテーマについて踏み込んだ意見交換が行われました。
参加者は、今後の具体的な協力のステップについても議論し、幅広い分野で共通認識を形成したとされています。日中両国が経済協力の方向性について大枠で歩調を合わせたことは、アジア地域の安定と成長を考えるうえで注目すべき動きです。
日本の読者にとってのポイント
今回の動きを、日本の読者やビジネスパーソンの視点から整理すると、次のような論点が見えてきます。
- 日中関係が「対立」ではなく「協力」として位置づけられることで、サプライチェーンの安定や市場機会の拡大が期待できること
- AI、デジタル経済、省エネ・環境といった成長分野で、どのような共同プロジェクトやビジネスモデルが生まれるかに注目が集まること
- 日中韓FTAやRCEPなどのルール形成に、日本と中国がどのように関わり、アジア太平洋の経済秩序を形づくっていくのかが今後の焦点になること
日中経済協力の「変革」と「高度化」は、日本の経済や企業戦略にも直接関わるテーマです。今後の対話の進展と具体的な合意内容を追いながら、自分たちの仕事や暮らしにどうつながってくるのかを考えていくことが求められています。
Reference(s):
Wang Yi calls for transformation, upgrade of China-Japan cooperation
cgtn.com








