中国とアジア開発銀行が協力拡大へ 李強首相が連帯強化を提唱
中国の李強首相は北京でアジア開発銀行(ADB)のマサト・カンダ総裁と会談し、環境や高齢化、デジタル経済など幅広い分野で協力を一段と拡大する方針を示しました。
地政学リスクの中で「アジアの連帯」を呼びかけ
李強首相は、近年の地政学的な緊張や保護主義の台頭により、世界経済の回復が遅れ、不安定性と不確実性が増していると指摘しました。そのうえで、アジア諸国が連帯と協調を強める必要性を強調しました。
具体的には、アジア各国が次のような取り組みを進めるべきだと呼びかけました。
- 多国間主義を堅持し、地域の経済統合をさらに進めること
- 貿易・投資・技術の流れを妨げる障壁を取り除くこと
- 産業・サプライチェーン(供給網)の安定性と円滑な流れを維持すること
また、各国がマクロ経済政策の協調を強め、科学技術イノベーションでの交流と協力を深めることで、アジア経済全体の効率とレジリエンス(回復力)を高め、さまざまなリスクに対応していくべきだと述べました。
中国とADB、全面的な協力拡大へ
李強首相は、アジア太平洋地域で重要な役割を果たす多国間開発機関として、アジア開発銀行の存在を高く評価しました。そのうえで、中国はADBとの「全面的な協力」をさらに拡大し、パートナーシップを新たな段階に引き上げたいとの考えを示しました。
中国側は、地域により多くの「公共財」を提供することで、互恵とウィンウィンの関係を実現したいとしています。ここでいう公共財とは、インフラ整備や気候変動対策、知識や経験の共有など、国境を越えて多くの国と地域に利益をもたらす取り組みを指します。
重点分野1:環境保護とグリーン・低炭素開発
会談ではまず、環境保護やグリーン(環境配慮型)・低炭素開発の分野での金融協力を強化する方針が示されました。気候変動への対応やエネルギー転換は、多くのアジア諸国に共通する課題であり、中国とADBが協力して支援を拡大していく構図が浮かび上がります。
重点分野2:高齢化社会への対応と医療・介護
李強首相は、高齢者ケアや医療分野での協力拡大にも言及しました。アジア各地で高齢化が進むなか、医療体制や介護サービスをどう整備するかは重要なテーマです。ADBとの連携を通じて、資金面だけでなく制度設計やノウハウの共有も視野に入っているとみられます。
重点分野3:新産業、制度改革、デジタル経済
さらに、中国は次のような分野でADBとの「知識協力」を深める意向を示しました。
- 新興産業の育成や産業構造の高度化
- 財政・税制改革などの制度面の見直し
- 高齢化への包括的な対応政策
李強首相はまた、中国がこれまでに蓄積してきた貧困削減やデジタル経済の経験を、アジア太平洋地域の他の開発途上メンバーと共有する用意があると述べました。こうした経験の共有を通じて、地域全体の持続可能な発展を後押ししたい考えです。
ADB側:改革と開放を評価、「40年」の節目を機会に
マサト・カンダ総裁は、国際貿易の分断が進むなかで、中国が改革の一層の深化と高水準の対外開放に取り組んでいることを高く評価しました。これは中国自身の安定した成長につながるだけでなく、アジアや世界全体の経済成長にも重要な貢献をしていると述べました。
ADBは中国との協力を重視しており、協力関係の40周年という節目を、新たなパートナーシップ強化の機会ととらえています。知識イノベーションやグリーン開発などの分野で中国との連携をさらに深め、アジア太平洋地域の発展をともに推進していく姿勢を示しました。
これから何が問われるのか
今回の会談からは、アジア経済が直面するリスクに対して、地域内での連帯と多国間協力を通じて対応しようとするメッセージが読み取れます。
- 地政学的な緊張や保護主義にどう向き合うか
- サプライチェーンの安定とグリーン転換を両立できるか
- 高齢化やデジタル化といった構造的な課題にどう対応するか
中国とアジア開発銀行の協力が、こうした課題にどこまで具体的な成果をもたらすのか。今後、環境、インフラ、高齢化対策などの分野でどのようなプロジェクトが生まれてくるのかが注目されます。
Reference(s):
China to expand all-round cooperation with ADB: Chinese premier
cgtn.com








