中国、2025年アジア冬季大会サイバー攻撃で米国人3人を指名手配
中国東北部のハルビン市で今年開かれた2025年アジア冬季競技大会の期間中に行われたとされるサイバー攻撃を巡り、ハルビン市公安局が米国人3人を指名手配したと明らかにしました。中国外務省はこの行為を強く非難し、米国側にサイバー攻撃の停止と責任ある対応を求めています。
2025年アジア冬季大会で浮上したサイバー攻撃疑惑
ハルビン市公安局は火曜日、公式SNSの微博に声明を掲載し、2025年アジア冬季競技大会の開催期間中に悪質なサイバー攻撃を行った疑いで、米国籍のキャサリン・ウィルソン氏、ロバート・スネリング氏、スティーブン・ジョンソン氏の3人を指名手配リストに載せたと発表しました。
公安局によりますと、3人は米国家安全保障局(NSA)傘下の組織とされる「テーラード・アクセス・オペレーションズ(TAO)」が関与した大規模なハッキング作戦に関わっていたとされています。声明は、この作戦が2025年アジア冬季競技大会に関連するシステムを含むサイバー攻撃の一部だったと指摘しています。
重要インフラと企業を標的にしたとされる攻撃
中国側の捜査結果として公安局が公表した内容によると、3人の「秘密工作員」は、中国の重要情報インフラや企業に対し、繰り返しサイバー攻撃を仕掛けていたとされています。重要情報インフラとは、社会や経済の基盤を支える通信、金融、エネルギー、防衛などのシステムを指し、ここへの攻撃は国家安全保障に直結するおそれがあります。
また、声明は、TAOが2022年に中国の有力な航空大学に対して行われたサイバー攻撃の黒幕としても特定されたと述べています。この一連の説明から、中国当局は今回の件を単発の事案ではなく、継続的な攻撃の一部と位置付けていることがうかがえます。
中国外務省「極めて悪質」 米国に攻撃停止を要求
中国外務省も同日、この問題についてコメントし、強い懸念と非難の姿勢を示しました。林剣報道官は定例記者会見で、今回のサイバー攻撃について、中国の重要情報インフラや国防、金融、社会、産業、生産、さらには市民の個人情報の安全を著しく脅かすものであり、「極めて悪質だ」と述べました。
外務省は、中国が自国のサイバーセキュリティを守るために必要な措置を今後も取り続けると強調しました。林報道官は、これまでにさまざまなルートを通じて、米国側に対し、中国の重要インフラに対するサイバー攻撃への懸念を伝えてきたと説明しています。
そのうえで林報道官は、米国に対してサイバー空間に対する責任ある姿勢を取るよう求め、サイバー攻撃を含むあらゆる形の攻撃行為を停止するとともに、中国に対する根拠のない非難をやめるよう促しました。
国際スポーツ大会とサイバー空間の新たなリスク
今回の発表は、国際ニュースとして、スポーツの大型イベントがサイバー攻撃の標的となるリスクの高さを改めて浮き彫りにしています。大会運営や都市インフラはデジタル技術に大きく依存しており、一度システムが狙われれば競技の円滑な実施だけでなく、観客や選手の安全にも影響が及ぶ可能性があります。
一般に、国際的なスポーツ大会をめぐって懸念されるサイバーリスクには、次のようなものがあります。
- 大会運営システムや競技会場のネットワークへの不正侵入
- 選手、スタッフ、観客の個人情報の窃取や不正利用
- チケット販売、交通、宿泊など周辺サービスへの妨害行為
- 大会に関連する偽サイトやフィッシング詐欺の拡散
今回、中国当局がアジア冬季競技大会に関連したサイバー攻撃として公表したことで、スポーツとサイバー安全保障の関係は今後、より強く意識されることになりそうです。
米中関係とサイバー安全保障をどう見るか
サイバー空間をめぐる対立は、米中関係の新たな焦点の一つになっています。今回、中国側が具体的な個人名と組織名を挙げて指名手配に踏み切ったことは、サイバー攻撃を重大な安全保障問題として扱う姿勢を示すものと言えます。
一方で、サイバー攻撃は技術的な追跡や証拠の提示が難しい分野でもあり、どの国にとっても透明性と信頼性の確保が課題となっています。今回の発表も、今後の外交や専門家による議論の中で、さまざまな角度から検証と議論が続いていくとみられます。
日本や企業・個人にとっての意味
中国と米国の間で起きているサイバー攻撃をめぐる動きは、日本やアジアの企業・個人にとっても無関係ではありません。国境を越えるサイバー攻撃が日常化するなかで、重要なのは次のような視点です。
- 国際イベントや大型プロジェクトに関わるシステムのセキュリティ強化
- クラウドサービスや通信インフラに対するリスク管理の見直し
- 個人情報や業務データを守るための日常的なサイバー衛生習慣の徹底
特に、運営システムやサプライチェーンが複数の国や地域にまたがるケースでは、自国だけでなく、関係する国全体のサイバーリスクを意識する必要があります。パスワード管理や多要素認証の導入、従業員教育といった基本的な対策も、依然として大きな意味を持ちます。
サイバー空間での攻防が国際ニュースとして注目を集める中、中国当局の今回の発表が、米中関係、そして世界のサイバー安全保障の議論にどのような影響を与えるのか。今後の動きが注視されています。
Reference(s):
China seeks arrest of 3 U.S. citizens over Winter Games cyberattacks
cgtn.com








