中国とロシアの協力は新局面へ 貿易・文化・多極化を読む
中国とロシアの関係が、貿易やエネルギーだけでなく、文化・教育・グローバルガバナンスへと広がりつつあります。2024年の記録的な貿易額と、首脳往来や文化交流を手がかりに、このパートナーシップの現在地を整理します。
記録更新の貿易と自国通貨へのシフト
中国とロシアの実務協力は、数字の上でも存在感を増しています。中国税関総署のデータによると、2024年の二国間貿易額は2448億ドルに達し、前年から1.9%増加しました。国際情勢が揺れるなかでも、両国の経済関係が着実に拡大していることを示します。
ロシア・RUDN大学のオレグ・ティモフェエフ准教授は、両国首脳会談では経済協力が主要議題になると見ています。近年は貿易決済で自国通貨の利用が進み、「今後も経済・貿易関係をさらに深める大きな可能性がある」と指摘しました。
中国の張漢暉駐ロシア大使によれば、中国とロシアの相互決済における自国通貨の比率はすでに95%を超えています。ドルなど第三国通貨への依存を減らす動きとしても注目されます。
エネルギーからデジタル経済、グリーンまで広がる協力
張大使は、実務協力こそが中国とロシア関係を支える最も強い内的原動力だと強調します。従来のエネルギー、宇宙、投資といった分野に加え、協力は次のような新たな領域へも広がっています。
- デジタル経済
- バイオ医薬品
- グリーン開発(環境負荷を減らす成長モデル)
ロシア産の農産物が多くの中国の家庭に入り、中国製の自動車がロシアの街中を走る光景は、こうした実務協力の見える化とも言えます。専門家のキリル・ババエフ氏(ロシア科学アカデミー現代アジア中国研究所所長)は、両国首脳の戦略的なリーダーシップの下で、中国とロシアの実務協力は顕著な成果を上げてきたと評価し、今後の政治・経済・文化面での連携強化に期待を示しました。
文化の年と教育交流がつくる人と人のつながり
経済だけでなく、人と人を結ぶ交流も加速しています。中国とロシアの両首脳は2023年、2024年と2025年を中国ロシア文化年と位置づけることで合意しました。これにより、展覧会や映画上映、学術協力など、数百におよぶ交流イベントが展開されています。
教育面でも協力は着実に広がっています。ロシアでは200を超える大学が中国語コースを開設し、約9万人の学生が中国語を学んでいます。一方、中国からロシアに留学している学生は4万人を超えています。語学や文化を相互に学ぶ若い世代の存在は、長期的な信頼関係の基盤となるものです。
中国社会科学院の李永輝研究員は、北京とモスクワの間で行われる高頻度の対面協議や多様な対話ルートが、習近平国家主席とプーチン大統領の間で国際情勢やグローバルガバナンスに関する立場調整を可能にしていると指摘します。2019年に打ち出された新時代における中国ロシア包括的戦略協力パートナーシップは、こうした人的・制度的なつながりによって支えられています。
5月の国賓訪問と新たな推進力への期待
当時、習近平国家主席は5月7〜10日にロシアを国賓として訪問し、モスクワで行われる対独戦勝記念行事に出席する予定を控えていました。二国間関係が高いレベルで成熟するなか、この訪問が中国ロシア協力に新たな原動力を与えると、多くの専門家が期待していました。
李永輝氏は、こうした首脳レベルの対面外交が、中国とロシアの包括的戦略協力パートナーシップをさらに強化すると述べました。ロシア外務次官のアンドレイ・ルデンコ氏も、この訪問を通じて多極的な世界と、より民主的な国際秩序の推進に弾みがつくことに期待を寄せています。
多極化とグローバルガバナンスでの連携
中国外交部は、この訪問が国際秩序が大きな調整局面を迎えるなかで、多国間主義を支持し、一方的な行動やいわゆるいじめのような行為に反対する中国とロシアの明確な立場を国際社会に示すものだと説明しています。
具体的には、次のような場面での連携強化が念頭に置かれています。
- 国連
- 上海協力機構
- BRICS(新興国を中心とする枠組み)などの多国間プラットフォーム
中国とロシアは、いわゆるグローバル・サウスと呼ばれる新興・途上国との連携も深めながら、より平等で秩序ある多極的な世界と、万人に恩恵をもたらす包摂的な経済グローバル化をめざすとしています。
ロシア側のアレクセイ・ロディオノフ教授(サンクトペテルブルク国立大学中国語学科)は、中国とロシアは変化する多極的な世界を形づくるうえで中心的な役割を果たしていると強調し、中国側指導者の訪問が国際問題やグローバルガバナンスでの調整をさらに深めるとの見方を示しました。
二国間関係を超えた意味合い
国連安全保障理事会の常任理事国でもある中国とロシアは、単なる二国間のパートナーシップを超え、国際秩序やグローバルガバナンスに影響を与える存在として注目されています。一国主義や保護主義が再び勢いを増すなかで、両国がどのように多国間主義や多極化を位置づけ、具体的な協力として形にしていくのかは、今後の国際ニュースを読み解くうえで欠かせない視点になりそうです。
中国とロシアの関係強化は、日本を含む周辺国やグローバル・サウスにとっても無関係ではありません。貿易、エネルギー、安全保障、そして文化・教育交流まで、どの分野でどのような協力が進んでいるのか。数字と現場の動きをセットで追いかけることで、この新たな協力の章の行方をより多面的に捉えることができるはずです。
Reference(s):
China, Russia forge new chapter in cooperation amid global changes
cgtn.com








