ブルーカーボンは気候変動対策の秘密兵器か
2025年、気候変動対策の議論の中で「ブルーカーボン」と海洋の役割がこれまで以上に注目を集めています。6月には世界海洋デーと全国海洋宣伝デー、上海ではカーボンニュートラル博覧会が開かれ、海の炭素吸収力に焦点が当たりました。
海は地球最大の「炭素の貯蔵庫」
海洋は地球で最大の炭素吸収源とされ、大気の約50倍、陸上生態系の約20倍もの炭素を蓄えています。また、毎年排出される二酸化炭素の約3分の1を吸収しているとされ、気候変動の進行を和らげる上で欠かせない存在です。
この海の炭素吸収に関わるのが「ブルーカーボン」です。マングローブ林、海草藻場、塩性湿地などの沿岸生態系が二酸化炭素を取り込み、長期的に貯蔵する仕組みを指します。これらの生態系が健全に維持されることは、地球全体の炭素バランスを保つうえで重要な役割を果たしています。
2025年の世界海洋デーで示されたメッセージ
2025年6月8日に行われた世界海洋デーおよび全国海洋宣伝デーでは、「海洋生態系を保護し、人と自然の調和共生を実現する」といった趣旨のテーマが掲げられました。気候変動対策と海洋保護を切り離さずに捉える視点が、あらためて強調された形です。
海の炭素吸収機能を高めるには、単に排出量を減らすだけでなく、沿岸の生態系を守り、回復させていく必要があります。ブルーカーボンは、気候変動への緩和策であると同時に、生物多様性や漁業資源を守る取り組みにもつながります。
上海国際カーボンニュートラル博覧会で進むブルーカーボン協力
世界海洋デーに先立つ6月5日から7日には、上海で2025上海国際カーボンニュートラル博覧会が「カーボンニュートラルな未来へ」をテーマに開催されました。この場では、ブルーカーボン分野における重要な協力プロジェクトや技術的な成果が相次いで発表されました。
博覧会で示されたのは、ブルーカーボンを巡る動きが、もはや研究や理念の段階にとどまらず、具体的な協力や技術開発のフェーズへと進みつつあるという現実です。都市や産業の脱炭素と、海洋生態系の保全をどのように結びつけるかが、今後の注目点となります。
太平洋島しょ国が持つ「戦略的」な位置づけ
太平洋の島しょ国は、広大な海域という資源を背景に、ブルーカーボン分野で戦略的な位置を占めるとされています。一方で、陸地が小さく標高が低い地域が多いため、海面上昇や極端な気象現象といった気候変動の影響を最も受けやすい地域でもあります。
海洋資源が豊かであるほど、海の変化の影響も受けやすいというジレンマの中で、ブルーカーボンをどう生かすかは、これらの国々にとって生存に関わるテーマです。気候変動の「最前線」に立つ地域の声や経験が、今後の国際的な議論や協力に反映されるかどうかが問われています。
ブルーカーボンは「秘密兵器」になりうるか
では、ブルーカーボンは本当に気候変動と闘うための「秘密兵器」になりうるのでしょうか。海洋が吸収できる炭素量には限りがあり、ブルーカーボンだけですべての問題が解決するわけではありません。ただ、海洋と沿岸生態系の役割を正しく理解し、守り、賢く活用することは、気候変動対策の選択肢を確実に増やします。
2025年に開かれた各種のイベントや博覧会は、海と気候をめぐる議論の軸が、陸から海へと広がりつつあることを示しました。今後、ブルーカーボンに関するルールづくりや国際協力がどのように進むのか。動きをフォローしながら、私たち自身も「海の視点」から気候変動を考えてみる必要がありそうです。
Reference(s):
Blue carbon: A secret weapon in the fight against climate change?
cgtn.com








