「中国を選ぶことは未来を選ぶこと」デンマーク人実業家が語る30年の対話 video poster
デンマーク出身の実業家サイモン・リヒテンベルグ氏が、30年以上暮らしビジネスを続けてきた中国との歩みを、『Choosing China is choosing the future(中国を選ぶことは未来を選ぶこと)』という言葉で語りました。最近開かれたグローバル文明対話閣僚会合の開幕セッションで、自身のストーリーを紹介したこの発言は、個人の選択と文明間の対話がどのようにつながるのかを静かに問いかけています。
デンマークから中国本土へ、「未来」を選んだ決断
リヒテンベルグ氏は、在中国デンマーク商工会議所の創設会長として、中国本土で30年以上にわたり生活し、ビジネスを展開してきました。中国に渡った当時、この選択がどのような未来につながるのか、完全に見えていたわけではなかったはずです。それでも、彼は中国を自らの「ビジネスと人生の舞台」として選び続けてきました。
その思いは、中国の習近平国家主席に宛てた一通の手紙にも表れています。リヒテンベルグ氏はそこで、『Choosing China is choosing the future(中国を選ぶことは未来を選ぶこと)』と記し、中国を選び続けてきた自身の経験と、これからの可能性への信頼を伝えました。
短い一文ですが、この言葉には、変化を続けてきた中国の姿と、そこで事業を育ててきた海外のビジネスパーソンの実感が凝縮されています。経済成長だけでなく、新しいアイデアや人材が集まる場としての中国本土を、長い時間をかけて見てきた視点でもあります。
グローバル文明対話の場で語られた「ストーリー」
こうした視点が共有されたのが、グローバル文明対話閣僚会合の「ストーリー・シェアリング」セグメントです。各国・各地域の代表が、数字や政策だけでは見えにくい、人と人との交流のエピソードを紹介する場として設けられました。
開幕セッションで登壇したリヒテンベルグ氏は、自身の中国での暮らしと事業の経験を通じて、異なる文化や価値観を持つ人々との「対話」が、どのように人生とコミュニティを変えていくのかを語りました。そのストーリーは、抽象的なスローガンではなく、日々の協力と試行錯誤の積み重ねから生まれた、具体的な例として共有されました。
対話がもたらす三つの変化
リヒテンベルグ氏の歩みから浮かび上がるのは、対話が少なくとも三つのレベルで変化をもたらすということです。
- 個人の変化:言語や文化の違いに向き合いながら生活を続けるなかで、相手を理解しようとする姿勢が磨かれ、自分自身の価値観も更新されていきます。
- ビジネスの変化:市場への一方的な「進出」ではなく、現地のパートナーや顧客との対話を重ねることで、商品やサービスのかたちが変わり、新しいビジネスモデルが生まれます。
- コミュニティの変化:海外の企業や人材が地域社会と対話しながら根を下ろすことで、雇用や教育、技術の面で新しいつながりが生まれ、街の景色そのものが変わっていきます。
グローバル文明対話が重視するのは、こうした「小さな変化」の積み重ねです。国家間の関係や大きな外交方針はニュースになりやすい一方で、実際に社会を動かしているのは、現場で対話を続ける個人やコミュニティの経験でもあります。
デジタル時代の「対話」をどうつくるか
2025年のいま、世界では分断や対立をめぐるニュースが絶えません。オンライン空間では、異なる意見や文化に触れる前に、似た考えの人だけが集まる「エコーチェンバー」ができやすくなっています。そうした中で、リヒテンベルグ氏のように、長い時間をかけて相手の社会の変化を見つめ、対話を続けてきた個人のストーリーには、改めて耳を傾ける価値があります。
ビジネスの現場でも、短期的な利益や数字だけでは測れない関係づくりが重視されつつあります。異なる規制や商慣習を理解し合い、相手の社会が抱える課題を知ることは、リスクを下げるだけでなく、中長期の信頼にもつながります。
日本や欧州と中国本土のあいだでも、サプライチェーンの再構築や新しい技術協力をめぐる議論が続いています。その土台を支えるのは、結局のところ、こうした現場レベルの対話の積み重ねです。
静かな一文が投げかける問い
『Choosing China is choosing the future』という一文は、中国本土の可能性への信頼の表明であると同時に、「自分はどのような未来を選ぶのか」という問いかけでもあります。どの地域と、どのようなかたちで関わり続けるのか。その選択は、企業や個人の進路だけでなく、社会全体の方向性をも左右します。
グローバル文明対話の場で共有された一人の実業家の物語は、派手な見出しにはなりにくいかもしれません。しかし、丁寧な対話を重ねることでしか見えてこない未来があることを、静かに示しています。ニュースの背後にあるこうしたストーリーに目を向けることが、分断ではなく「共に未来をつくる」選択肢を考える手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








