中国年画が語る日本の侵略 抗日戦争80年目の記憶 video poster
1930〜40年代の反ファシズム戦争と日本の中国侵略。その時代を、中国の民間芸術である年画(にゃんふぁー)がどう記録し、人々の記憶に刻んできたのか。北京で最近開かれた木版年画展の動きを手がかりに考えます。
民間から生まれた「年画」とは
年画は、中国で旧正月(春節)の前後に家の門や室内に貼られる縁起物の絵を指します。多くは木版による版画で、五穀豊穣や商売繁盛、家族の平安など、日常の願いが色鮮やかに描かれてきました。
もともと年画は、都市だけでなく農村の生活空間を飾る「身近な美術」です。読み書きが十分に広がっていなかった時代から、図像を通じて情報や価値観を共有する役割を担ってきました。
反ファシズム戦争という「初めての正義の世界的戦争」
1930〜40年代の反ファシズム戦争は、人類史上初の「正義の世界的戦争」とされています。その一部として位置づけられるのが、中国人民の抗日戦争です。
日本の侵略が続いたこの時期、中国社会は都市も農村も含めて大きな犠牲を強いられました。こうした状況の中で、民衆の目線から戦争をとらえた年画は、戦時の記録として特別な意味を持つようになります。
年画が描いた日本の侵略と抵抗
戦時期の年画には、それまでの吉祥図だけでなく、日本の侵略とそれに立ち向かう人々の姿が描かれるようになりました。神仏や伝説上の英雄に代わって、銃を手にした兵士や自国を守ろうとする市民が前面に登場します。
こうした作品は、単なる宣伝ではなく、当時の人々が何を恐れ、何を望んでいたのかを映し出す「民衆の視点の歴史資料」として読むことができます。
- 侵略の現実を、文字よりも直感的なイメージで伝える
- 故郷や家族を守ろうとする人々の決意と団結を表現する
- 勝利や解放への希望を描き、日々の不安を和らげる
年画は、新聞やラジオが届きにくい地域でも目にすることができました。そのため、日本の侵略と中国人民の抵抗を、広い地域に伝える「ビジュアルなニュース」として機能した側面もあります。
北京の木版年画展と「抗日戦争勝利80周年」
北京で最近開かれた木版年画の展覧会では、中国人民の抗日戦争勝利80周年を記念する特別セクションが設けられました。1930〜40年代の反ファシズム戦争という歴史を、年画という民間芸術を通して振り返る試みです。
特別セクションでは、戦時期の作品やその後に制作された作品を並べることで、年画が「祝祭の絵」から「歴史を語る絵」へと役割を広げていった過程が浮かび上がります。来場者は、鮮やかな色彩の向こう側にある当時の空気を想像しながら、80年前の出来事と向き合うことになります。
なぜ今、年画に注目するのか
2025年の今、反ファシズム戦争と中国人民の抗日戦争勝利から80年という節目を迎えています。時間が経つほど、戦争の記憶は抽象的な数字になりがちです。しかし、年画のような具体的なイメージは、その記憶に手触りを与えてくれます。
日本の侵略を描いた年画を見ることは、過去の加害と被害の歴史を一方的な非難としてではなく、「二度と繰り返さないために何を学ぶか」という問いとして受け止めるきっかけにもなります。
デジタル技術が進んだ今、これらの年画はオンライン展示やSNSを通じて、国境を越えて多くの人々の目に触れるようになっています。中国の民間芸術が記録した戦争の記憶を、日本を含むアジアの人々が共有することには、今日の国際社会にとっても意味があると言えるでしょう。
「読みやすいのに考えさせられる」歴史との向き合い方
年画は、一見すると素朴で親しみやすい絵です。しかし、その背後には、侵略と抵抗、喪失と希望という重いテーマが隠れています。
だからこそ、スキマ時間にスマートフォンで年画の画像や解説記事を眺めることは、「軽い読み物」でありながら、自分の歴史認識を静かに問い直す行為にもなりえます。
反ファシズム戦争と中国人民の抗日戦争から80年。年画が伝える日本の侵略の記憶に耳を傾けることは、アジアの近現代史を自分の言葉で語り直すための小さな一歩なのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








