中国・ネパール首脳が天津で会談 一帯一路とSCOサミット2025を協議
2025年の上海協力機構(SCO)サミット出席のため中国を訪れているネパールのKPシャルマ・オリ首相が、中国北部の港湾都市・天津で習近平国家主席と会談し、一帯一路や地域協力の強化について意見を交わしました。
天津で行われた中国・ネパール首脳会談
会談は、中国とネパールの国交樹立から70年以上が経過した今、両国関係をどのように次の段階へと発展させるかを確認する場となりました。
習主席は、過去約70年にわたる中国とネパールの善隣友好関係を高く評価し、「現在、両国の間で進む質の高い一帯一路協力は着実に前進している」と強調しました。
そのうえで、中国はネパールとともに伝統的な友情を受け継ぎ、「発展と繁栄のための永続的な友情」を特徴とする中国・ネパールの戦略的パートナーシップを、さらに高い水準へと引き上げていく考えを示しました。
一帯一路とインフラ連結の強化
習主席は、相互に利益となる協力をいっそう深めるため、次のような分野で連携を進める必要があると呼びかけました。
- 港湾や道路などの交通インフラ
- 送電網(電力ネットワーク)
- 航空
- 通信
こうしたインフラの「連結性」を高めることは、中国とネパール、ひいては南アジア全体を結びつける重要な要素です。一帯一路構想のもとで道路や送電網が整えば、ヒマラヤを挟んだ内陸国であるネパールにとっても、物流やエネルギー供給の安定につながるとみられます。
産業からAIまで 広がる協力分野
習主席はまた、インフラにとどまらず、次のような幅広い分野での協力拡大を提案しました。
- 産業
- 農業・畜産
- 新エネルギー
- 環境保護
- 石油・ガス
- 人工知能(AI)
- 教育・医療
- 法執行・安全保障
ネパールにとっては、農業や観光に依存しがちな産業構造を多様化しつつ、環境負荷を抑えた形で成長していくための選択肢が広がることになります。一方の中国にとっても、南アジアとの経済的・人的なつながりを強めることは、一帯一路や地域戦略の観点から重要な意味を持ちます。
国連とSCOでの連携 自由貿易と持続可能な発展を強調
国際政治の舞台でも、両首脳は連携を強める姿勢を示しました。
習主席は、国連や上海協力機構(SCO)といった多国間の場で、緊密な意思疎通と協調を図るべきだと指摘しました。そのうえで、
- 自由貿易の支持
- 持続可能な発展の推進
- 国際的な公平と正義の擁護
といった目標を共有し、共に取り組んでいく必要性を強調しました。
SCOは、中国やロシア、中央アジアの国々などが参加する地域協力の枠組みで、安全保障から経済協力まで幅広い議題を扱う組織です。2025年のSCOサミットは、こうした多国間協調の方向性を確認する場にもなります。
ネパールの立場 一つの中国原則と中国提唱イニシアチブへの支持
オリ首相は会談で、中国との協力がネパールの経済・社会発展を力強く後押ししてきたと評価しました。
そのうえで、ネパールが一つの中国原則を堅持し、「台湾独立」を図る分裂の動きに断固として反対する立場を改めて表明しました。また、自国の領土を利用して中国の利益を損なおうとするいかなる勢力の活動も認めないと強調しました。
さらにオリ首相は、中国が提唱する三つの構想への支持を示しました。
- グローバル発展イニシアチブ(Global Development Initiative)
- グローバル安全保障イニシアチブ(Global Security Initiative)
- グローバル文明イニシアチブ(Global Civilization Initiative)
これらはいずれも、開発、安全保障、文明対話といった分野で国際協力の新たな枠組みを目指す構想で、ネパールは中国が国際社会でより大きな役割を果たすことへの期待も表明しました。
戦後80年の節目に行われた会談の意味
オリ首相は、2025年の上海協力機構サミットへの出席に加え、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利から80年となる節目を記念する行事にも参加するため、中国を訪れています。
戦争終結から80年という長い時間が経過した今、地域の指導者が歴史を振り返りつつ、インフラ協力や経済連携、平和と発展について議論することには象徴的な意味があります。過去を記憶しつつ、将来の協力や共存のあり方を模索する場になっているとも言えます。
日本の読者にとってのポイント
今回の中国・ネパール首脳会談は、日本から見ると距離のある話題のように見えるかもしれませんが、いくつかの点で注目する価値があります。
- ヒマラヤを挟んだインフラ連結の動きは、南アジアからユーラシアへと続く物流やエネルギーのルートに影響を与えます。
- 一帯一路、新エネルギー、AIといったテーマは、日本を含むアジア各国が直面する課題や機会と重なります。
- 国連やSCOなど多国間の場で、自由貿易や持続可能な発展をどう位置づけるかは、グローバルな経済秩序を考えるうえで重要な論点です。
日々のニュースの中で、中国と南アジアの動きを押さえておくことは、日本の外交や経済の行方を考える手がかりにもなります。天津での今回の会談は、その一端を映し出す出来事と言えるでしょう。
Reference(s):
Chinese President Xi Jinping meets Nepali Prime Minister KP Sharma Oli
cgtn.com








