中国AI企業、「Android方式」のオープンエコシステム構築へ
中国・重慶市で開かれた2025年の世界スマート産業博覧会で、中国初となるAI計算向けのオープンアーキテクチャ(設計思想)が発表されました。半導体メーカーや大規模言語モデルの開発企業など、AI関連の20社超が共同で打ち出したこの構想は、「Android方式」と呼ばれるオープンなエコシステムを志向している点で注目されています。
中国初のオープンAI計算アーキテクチャとは
今回公表されたのは、大規模なAI計算に必要なハードウェアとソフトウェアを、標準化された形で組み合わせるためのオープンな設計アーキテクチャです。GPU(画像処理用半導体)を中心とした高効率な構成を前提に、計算ノードやストレージ、冷却システム、ソフトウェアスタックを一体的に最適化することが狙いとされています。
背景には、中国のAI産業が直面してきた次のような課題があります。
- 高性能な計算資源の不足
- AI向けハードウェア・ソフトウェアの断片化
- 構築・運用コストの高さ
プロジェクトに参加する企業は、部品、システム、インフラ、ソフトウェア、データセットといった複数レイヤーの技術を相互に開き、共通の土台の上で組み合わせやすくすることで、こうした課題をまとめて解決しようとしています。
「Android方式」とは何を意味するのか
関係企業がこの取り組みを「Android方式」と呼ぶのは、スマートフォン向け基本ソフトのAndroidになぞらえているからです。Androidは、土台となる部分を広く開放することで、さまざまなメーカーがそれを基盤に自社製品を開発できるようにしました。
今回のオープンアーキテクチャも、それと似た発想です。
- 特定企業の専用技術に依存しない
- 共通の標準プラットフォームを複数の企業が共有する
- その上で各社が差別化技術を重ねていく
これにより、多様なプレーヤーが同じ土台の上で競争・協力しやすくなり、技術進化のスピード向上やコスト削減につながると期待されています。スマートフォン産業がオープンなAndroidを活用して成長してきたように、AI分野でも同様の波及効果を狙う構図です。
20社超が参画、Sugonが中核を担う
このオープンエコシステムづくりでは、中国のスーパーコンピュータメーカーであるSugon(中科曙光)が重要な役割を担っています。Sugonは、AIストレージの最適化技術、液冷システムの設計仕様、AI向けソフトウェアスタック「DeepAI」など、自社が持つ中核技術を開放する方針を打ち出しました。
Sugonの李斌・上級副総裁は、自社がこのオープンエコシステムを構築する「責任と能力」を持っていると強調しています。同社は過去10年で20を超える大規模計算クラスターを構築し、異なるブランドのアクセラレータカードを50万枚以上展開してきたとしています。こうした経験が、異種混在のハードウェアをまとめて扱うオープンアーキテクチャの設計に生かされているとみられます。
中小企業のR&Dハードルは下がるか
今回の取り組みで特徴的なのは、参加企業がAI技術を「層ごと」に開放しようとしている点です。部品レベルからシステム、インフラ、ソフトウェア、データセットまで、複数の階層で技術を共有することで、特に中小企業やスタートアップにとっての研究開発のハードルを下げる狙いがあります。
たとえば、これまで各社が個別に設計・検証してきた冷却方式やストレージ構成、AIソフトウェアの組み合わせなどを、あらかじめ標準化された形で利用できるようになれば、
- 最初から大規模な設備投資をしなくてもAIサービスの実証がしやすくなる
- 構築にかかる時間とコストを圧縮しやすくなる
- 限られた人材で高度なシステムを扱える可能性が広がる
といった効果が期待されます。結果として、中国のAI産業全体の裾野が広がり、新しいサービスやビジネスモデルが生まれやすくなるかもしれません。
オープンエコシステムがもたらす視点の変化
AI開発の土台を共有し、複数の企業が協調してエコシステムを育てる「Android方式」は、個々の企業の技術力だけでなく、「どう連携するか」が競争力の源泉になるという考え方を示しています。
ハードウェアとソフトウェアが細かく分断されがちなAI分野で、共通基盤を軸にした協力モデルがどこまで機能するのか。今後、このオープンアーキテクチャが実際のAIサービスやスマートデバイスにどのように組み込まれていくのかが、2025年以降の国際的なAI競争を考えるうえでも一つの注目点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








