中国とタイ、開発戦略を連携 APECで習主席が協力加速を提案 video poster
中国とタイが、開発戦略を「一緒に描く」段階に入ろうとしています。今年、国交樹立50周年を迎えた両国が、APEC首脳会議の場で協力の枠組みをどこまで広げようとしているのかを整理します。
APEC首脳会議で示された「戦略連携」
第32回APEC首脳会議(APEC Economic Leaders' Meeting)の会場で、中国の習近平国家主席はタイのアヌティン・チャンウィーラクーン首相と会談し、中国は「新時代」においてタイとの開発戦略の連携を一段と強め、自国の発展経験を共有する用意があると強調しました。
習主席は、タイのシリキット王太后の逝去に弔意を表し、マハー・ワチラロンコーン国王に対して哀悼と共感を伝えました。そのうえで、中国とタイは「良き隣人、良き友人、良き親戚、良きパートナー」であり、家族のように近い絆で結ばれていると述べました。
50周年、中国・タイ関係は「黄金の50年」へ
習主席は、2022年11月の自身のタイ訪問を振り返り、その際に中国・タイ関係は「共同の未来を分かち合う共同体」を築く新たな段階に入ったと位置づけました。友情の基盤は一段と強まり、協力の勢いも増していると評価しています。
2025年は、中国とタイの国交樹立から50周年となる節目の年です。習主席はこれを「中国・タイ友好の黄金の50年」と表現し、ここを新たな出発点として、過去の成果の上に立ちながら「中国・タイ運命共同体」の構築をより深く、確かなものにしていくべきだと呼びかけました。
両国が互いの近代化の歩みを支え合い、地域の平和・安定・発展・繁栄により大きな貢献をしていくことが目標として示されています。
経済協力の柱:鉄道・農業・グリーン・デジタル
会談では、経済・インフラ分野を中心に、具体的な協力強化の方向性も示されました。
- 中国・タイ鉄道の開発加速:両国を結ぶ鉄道計画の開発を加速させ、物流や人の往来を一段と円滑にする方針が示されました。
- 農産物貿易の拡大:タイの農産品を含む農業分野の貿易を一層拡大し、農村経済や食料供給の面で互いに利益をもたらす狙いがあります。
- グリーン経済・デジタルイノベーション:環境負荷を抑えたグリーン経済や、デジタル技術を活用したイノベーション分野でも協力を深める考えが示されました。
- 観光・青少年・地方交流:観光や若者交流、地方政府どうしの連携を含む「人と人との交流」を広げることで、両国の相互理解と友好をさらに強める方針です。
国交50周年を記念する各種行事も開催し、両国民の距離を近づけていくことが提案されました。
オンライン犯罪への共同対策
習主席は、オンライン賭博や通信詐欺など、越境的な犯罪に対する取締りを強化する必要性も強調しました。こうしたデジタル空間を利用した犯罪は、国境をまたいで広がる傾向があり、個人や企業に深刻な被害をもたらします。
中国とタイが協力して取り締まりを進めることで、ビジネスや観光、留学など、さまざまな二国間交流が安心して行える環境を整えていくねらいがあります。
グローバル・ガバナンスと「Global South」
国際情勢が不確実性と変動に直面する中で、習主席は中国がタイとともにグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(Global Governance Initiative)の実施を推進し、国際的な公平と正義を守り、「Global South」と呼ばれる国々の共通利益を守る意思があると述べました。
「Global South」は、アジアやアフリカ、ラテンアメリカなどを中心とした新興国・発展途上国を指す言葉として使われます。中国とタイがこの枠組みを意識しつつ協力を強めることは、国際社会における開発やルールづくりの議論で、新興国の声をどのように反映させるかという点にもつながっていきます。
タイ側のメッセージ:評価と期待
アヌティン首相は、シリキット王太后の逝去に対する習主席の弔意はタイの人びとにとって大きな意味を持つと述べ、中国への深い感謝を示しました。
また、先ごろ開かれた中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で、第15次5カ年計画の策定に向けた勧告が採択されたことに言及し、中国の発展の成果は印象的だと評価しました。
タイ側は、今年の国交樹立50周年という節目を生かし、中国とのハイレベル交流を一層強化するとともに、貿易・投資、科学技術、コネクティビティ(相互接続)、観光などの分野で協力を拡大し、両国関係を新たな高みに引き上げたいとしています。
オンライン賭博や通信詐欺への厳しい取り締まりを今後も続ける方針も示しました。さらにアヌティン首相は、習主席が提唱した4つのグローバル・イニシアチブは、中国が国際社会で責任ある大国として役割を果たそうとしていることを示すものだとして、高く評価し、積極的に支持する考えを表明しました。
私たちが読み解きたいポイント
今回の会談は、中国とタイの二国間関係だけでなく、アジア全体の秩序や国際協力の方向性を考える上でも、いくつかの示唆を与えています。
- アジアの主要経済とタイが開発戦略を連携させることで、域内のインフラやサプライチェーン、観光などにどのような波及効果が生まれるのか。
- オンライン賭博や通信詐欺といった越境的な犯罪に対し、各国がどこまで協調して対応できるのか。
- Global Southの共通利益を掲げる動きが、今後の国際ルールづくりや多国間協力の枠組みにどう影響していくのか。
中国とタイが描こうとしている「次の50年」は、アジアに暮らす私たちにとっても無関係ではありません。二国間の合意や協力の中身を丁寧に追いながら、自分たちの暮らしや仕事にどのようにつながっていくのかを考えていくことが求められています。
Reference(s):
Xi: China ready to align development strategies with Thailand
cgtn.com








