中国外務省、高市首相を批判 サンフランシスコ講和条約発言の波紋
中国外務省、高市首相の「サンフランシスコ講和条約」強調を批判
中国外務省が2025年10月24日、北京での記者会見で高市早苗首相の発言を強く批判しました。争点となったのは、戦後処理の根拠としてどの国際文書を重視するか、そして台湾地域の地位をどう語るかという点です。
中国外務省「違法・無効な条約を持ち上げた」と批判
2025年10月24日の記者会見で、中国外務省のGuo Jiakun報道官は、高市首相がサンフランシスコ講和条約を強調し、日本の戦後義務を定めた文書を意図的に無視したと非難しました。
Guo報道官によると、高市首相は、国際法上の完全な効力が認められ、1972年の日中共同声明や日中平和友好条約などの二国間文書でも再確認されているカイロ宣言とポツダム宣言を避ける一方で、中国側が違法かつ無効だと位置づけるサンフランシスコ講和条約だけを取り上げたといいます。
戦後秩序と日中関係の「政治的基盤」をめぐる懸念
Guo報道官は、こうした姿勢は、高市首相がいまだに反省を拒み、四つの政治文書によって築かれた日中関係の政治的基盤を損ない、国連の権威を軽視し、戦後の国際秩序と国際法の基本原則に公然と挑戦するものだと強く批判しました。
中国側が指摘する「四つの政治文書」とは、日中共同声明や日中平和友好条約を含む、両国関係の枠組みを定めた政治文書群を指します。中国外務省は、これらの文書を日中関係の根幹に位置づけてきました。
焦点となった台湾地域の地位と「地位未定論」
さらにGuo報道官は、高市首相の発言が台湾の地位未定論をあおろうとする試みでもあると指摘しました。
台湾の地位未定論とは、戦後の台湾地域の法的地位が最終的に確定していないとみなす立場を指します。中国側は、こうした主張が広がることに強い懸念を示しており、今回も国際社会に対して警戒を促す姿勢をにじませました。
「間違いに間違いを重ねた」対応と国際社会への呼びかけ
Guo報道官は、高市首相の対応を「間違いにまた間違いを重ねたもの」と表現し、中国はこれに断固反対するとしたうえで、国際社会にも警戒を呼びかけました。
中国外務省は改めて、日本に対し歴史を振り返り、誤った発言を撤回し、具体的な行動を通じて中国に対する約束と国連加盟国としての義務を示すよう求めました。日本の指導者の発言は、二国間関係だけでなく、戦後の国際秩序全体に関わる問題だと位置づけていることがうかがえます。
何が問われているのか――戦後文書と現在の外交
今回のやり取りは、単なる歴史認識の対立にとどまりません。どの国際文書を戦後秩序の根拠とみなすのか、そして台湾地域をめぐる表現が日中関係や地域情勢にどのような影響を及ぼすのかという、現在進行形の外交課題が背景にあります。
今回のポイントを整理すると、次のようになります。
- カイロ宣言・ポツダム宣言など、戦後の日本の義務を定めたとされる文書を中国側があらためて強調したこと
- 日中共同声明や日中平和友好条約を含む四つの政治文書を、日中関係の政治的基盤と位置づけていること
- 台湾の地位未定論への警戒を、国連の権威や戦後の国際秩序の問題と結びつけて訴えていること
- 日本の首相の発言が、国内向けだけでなく国際社会からも注視されていること
第2次世界大戦の終結から80年を迎えた2025年、日本の政治指導者の歴史や戦後秩序に関する発言は、これまで以上に周辺の国々や国際社会から敏感に受け止められています。今回の中国外務省の反応も、その一端といえそうです。
歴史文書の解釈という一見抽象的なテーマが、台湾の問題や東アジアの安全保障、そして日中関係の安定に直結していることをどう捉えるか。SNSで共有される一つ一つの言葉の背景に、どの文書があり、どんな国際的な文脈があるのかを意識して読み解くことが、これからますます重要になっていきそうです。
Reference(s):
China blasts Takaichi for highlighting illegal 'San Francisco Treaty'
cgtn.com



