世界最大の圧縮空気エネルギー貯蔵、江蘇省で中核タービン設置完了
2025年12月現在、世界最大の圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)施設とされる中国東部・江蘇省の塩洞窟プロジェクトで、中核となるタービン設備のつり上げが現地時間の木曜日に完了しました。再生可能エネルギーの普及と脱炭素を進めるうえで、なぜこのニュースが重要なのかを整理します。
世界最大の塩洞窟CAES、第2期工事が新たな段階へ
中国華能集団が進める華能金壇塩洞窟圧縮空気エネルギー貯蔵第2期プロジェクトは、世界最大のCAES施設と位置づけられています。この第2期工事で、発電設備の中心となるタービンのつり上げが完了し、主要機器の設置段階に入りました。
建設地は中国東部の江蘇省で、第2期では350メガワット級の圧縮空気エネルギー貯蔵ユニットを2基導入する計画です。いずれも塩洞窟を利用した非燃焼型の方式が採用されます。
タービンはCAESの心臓 10分でフル出力に
今回設置されたタービンは、圧縮空気エネルギー貯蔵設備の心臓部です。電力需要が急に高まるピーク時に、数分単位で応答し、電力網の負荷をならす役割を担います。
このタービンは、起動からおよそ10分で定格の出力まで立ち上がる性能を持ち、塩洞窟に蓄えた圧縮空気を膨張させ、そのポテンシャルエネルギーを電気に変換します。
コアとなる部品はすべて国産化されており、同種のタービンとしては中国で最も高い出力を持つとされています。また、単機としての発電出力と空気の取り込み量も、中国国内で最大級です。
第2期は350メガワット級2基 非燃焼型で環境負荷を抑制
第2期プロジェクトでは、350メガワットの非燃焼型CAESユニットを2基導入する計画です。非燃焼型とは、発電の際に燃料を燃やさず、圧縮空気の膨張エネルギーそのものを用いてタービンを回す方式を指します。
これにより、従来型の火力発電と比べて運転時の排出ガスを抑えつつ、大規模な電力供給能力を確保できると見込まれています。再生可能エネルギーと組み合わせることで、大規模な電力系統の安定運用に貢献することが期待されています。
年間330回の充放電 電気自動車10万台分を一度に蓄電
プロジェクトのエンジニアリング、安全、品質部門の副主任である陳暉氏によると、第2期設備がフル稼働した場合、年間およそ330回の充放電サイクルを行う計画です。
一回の充電で蓄えられる電力量は約280万キロワット時で、新エネルギー車およそ10万台分を動かせる規模に相当します。
- 1回の充電で約280万キロワット時を蓄電
- 年間約330回の充放電サイクルを想定
- 標準炭に換算して年間約27万トンの節約
- 二酸化炭素排出量を年間約52万トン削減
石炭消費の削減と二酸化炭素排出の抑制を通じて、地域の脱炭素化と大規模電力システムの環境負荷低減に寄与する狙いがあります。
巨大なエネルギー貯蔵は何を変えるのか
圧縮空気エネルギー貯蔵は、塩洞窟などの地下空間を利用して大量の空気を圧縮し、必要なときに放出して発電することで、巨大な充電池のように機能します。出力が大きく、応答速度も速いため、風力や太陽光といった変動する再生可能エネルギーを支える技術として注目されています。
今回の江蘇省のプロジェクトでは、世界最大規模とされる設備で、国産技術による高出力タービンを組み合わせることで、電力の安定供給と脱炭素の両立をねらっています。
大量の再生可能エネルギーを電力網に取り込もうとする国や地域にとって、大規模なエネルギー貯蔵設備をどう整備していくかは共通の課題です。塩洞窟CAESの動向は、今後の電力システム設計やエネルギー政策を考えるうえで、一つの参考事例になりそうです。
Reference(s):
Core of world's largest compressed air energy storage plant installed
cgtn.com








