18歳を襲った婦人科がん 中国本土で起きた見落とされたサイン
中国本土の深圳で、大学入試を終えたばかりの18歳の少女が巨大な卵巣腫瘍と診断されました。婦人科がんが若い世代をも襲いうることと、痛みのサインをどう受け止めるかを考えさせるニュースです。
「受験が終わったらでいい」と思っていた痛み
2025年6月9日、中国本土の広東省深圳市にある北京大学深圳病院の救急外来に、18歳の少女が腹部を押さえながら駆け込みました。大学入試を終えたばかりの彼女は、1か月以上続く腹痛と、目に見えて大きくなっていくお腹に悩まされていましたが、試験を優先して受診を先送りにしてきたといいます。
少女を受け入れたのは、同院産婦人科の主任医師である Guang Xiaoyan 医師でした。症状を聞いた Guang 医師は、すぐに詳しい検査を指示し、緊急の対応にあたりました。
見つかったのは直径27センチの卵巣腫瘍
検査の結果、医師たちが目にしたのは、直径がおよそ27センチにもなる巨大な卵巣腫瘍でした。手術に踏み切ると、その腫瘍は悪性の胚細胞腫瘍であることが判明します。さらに、腫瘍はすでに破裂し、お腹の中の大網と呼ばれる脂肪組織にまで広がっていました。
診断はステージIIIC。卵巣の外、腹腔内にまでがんが転移した進行した段階です。もし彼女が受験前に受診していれば、腫瘍の破裂や転移は避けられた可能性があり、より早い段階で治療を始められたとみられています。
「若いから大丈夫」という思い込みのリスク
今回のケースでは、年齢の若さと大学入試という人生の一大イベントが、受診のタイミングを遅らせる要因になりました。痛みがあっても「若いし、そのうちおさまるはず」「受験が終わってから病院に行けばいい」と考えた結果、最も良い治療のタイミングを逃してしまったのです。
それでも出ていたサイン
- 1か月以上続く断続的な腹痛
- 周囲から見ても分かるほど、ふくらんでいくお腹
- 日常生活に影響が出るほどの違和感を抱えながらの受験
こうした変化は、必ずしもがんを意味するものではありませんが、この事例は「忙しさ」や「若さ」を理由に、体からのサインを先延ばしにしないことの大切さを静かに物語っています。
妊よう性を守るための選択と標準治療
手術では、腫瘍を可能な限り取り除きつつ、将来妊娠する可能性を残すための妊よう性温存手術が行われました。医師たちは、命を守ることと同時に、この先の人生で、子どもを持つかどうかを自分で選べる可能性も残そうとしたのです。
その後、少女は標準的な化学療法を受けました。治療の過程は決して楽なものではありませんが、現在、彼女の病状は安定しており、新たに大学生活をスタートさせています。
若い世代と婦人科がん ひとつのケースが投げかける問い
婦人科がんは、中高年の女性がかかる病気というイメージが根強くあります。しかし、中国本土のこの18歳のケースは、「がんは年齢を選ばない」という現実をあらためて突きつけました。受験や仕事、家庭の事情など、人生の優先順位がいくつもある中で、体の声は後回しにされがちです。
今回の事例からは、次のような問いが浮かび上がります。
- 痛みや体の変化に気づいたとき、それをどこまで我慢すべきなのか
- 学校や家族、周囲の大人は、若い人が婦人科の不調を打ち明けやすい環境を作れているのか
- 受験や仕事のプレッシャーが、医療へのアクセスを妨げていないか
忙しい日常のなかでできる小さな工夫
- 「いつもと違う」痛みや張りが続くときは、予定を調整してでも早めに受診する
- 生理やお腹の不調について、友人や家族と話しやすい雰囲気を少しずつ作る
- 身近な若い人が体調不良を訴えたとき、「気のせい」と片付けず、話を聞き、受診を勧める
ニュースを自分ごととして受け止める
中国本土・深圳で起きた18歳の少女の物語は、国境を越えて、多くの人の生活ともどこかで重なります。スマートフォンの画面越しに読むと、一人の患者のエピソードに見えるかもしれませんが、そこには「体のサインとどう向き合うか」という普遍的なテーマがあります。
読み終えたあと、自分や身近な人の最近の体調を少しだけ振り返ってみる。その小さな行動が、どこかで誰かの「手遅れになる前の一歩」につながるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








