清華大、胎内で胚マウス脳を長時間観察 新しいin vivoイメージング技術
胎内にいる胚の脳が、どの瞬間にどう形づくられていくのか——。中国の研究チームが、胚マウスの脳発達を「生きたまま」長時間追える胎内イメージング技術を開発し、神経発達の動きをより具体的に捉えたと報じられました。
何が発表されたのか
Science and Technology Dailyによると、清華大学の研究チームが「胚マウス胎内(子宮内)でのin vivo観察」を可能にする撮像手法を開発しました。研究成果は、このほど学術誌Cellに掲載されたとされています。
専門家は、この技術が発達障害のメカニズム解明にもつながり得るとして、今後の応用可能性に注目しています。
技術の核:二光子顕微鏡+“胚を安定化する”補助デバイス
論文の責任著者であるMi Da氏によれば、新手法は二光子顕微鏡(深い組織を比較的観察しやすい顕微鏡手法)をベースに、胚マウスを固定・安定化する補助支持デバイスを組み合わせています。これにより、胎内でのライブ観察を「長時間・広視野・深部組織」まで広げたといいます。
従来手法の壁をどう越えたのか
- 観察の安定性
- 観察できる時間の長さ
- 視野(どれだけ広く見渡せるか)
- 実験の操作性
これらの制約を改善し、胚の脳血流や脳組織の細胞活動など、複数の指標を同じ「生体内の時間軸」で追えるようになったと説明されています。
何が見えたのか:神経細胞の“移動”を個体・集団で解析
研究チームは、胚マウスの大脳皮質で興奮性ニューロンと抑制性ニューロンに標識を施し、胎内イメージングと組み合わせて観察しました。その結果、ニューロンの移動について、個々の動きだけでなく、異なる種類のニューロンが集団としてどう振る舞うかまで、包括的に解析したとされています。
発達障害研究への手がかり:異常移動のin vivo証拠、免疫細胞の動的反応も
報道によると、この研究は神経発達障害のマウスモデルにおいて、ニューロン移動の異常を示す新たなin vivo証拠を提示したといいます。さらに、環境ストレスに対して胚の免疫細胞がどのような動的挙動を示すのか、その特徴も明らかにしたとされています。
「脳の細胞がいつ・どこへ・どう動き、周囲の細胞がどう反応するか」を、胎内の状態に近いかたちで追えることは、発達の“原因”と“結果”の距離を縮める一歩になり得ます。
今後の見通し:脳発達と発達性の脳障害研究の“道具箱”へ
中国科学院のアカデミー会員であるShi Songhai氏は、この研究で確立された技術フレームワークと解析手法が、脳発達および発達性の脳障害をめぐる今後の研究にとって重要なツールになる、と意義を述べたとされています。
胎内の“動いている発達”を、長時間・広範囲に見渡せるようになったことで、神経回路が形づくられる過程をどう理解し直せるのか。次の研究成果が待たれます。
Reference(s):
Chinese researchers reveal new embryonic mouse brain development
cgtn.com








