中国の氷雪観光が、冬の一過性ブームを超えて「持続的な繁栄」の段階に入りつつあります。中国観光研究院(CTA)が2026年1月5日(月)に公表した報告書によると、2025年末時点で氷雪観光に関連する企業は1万4075社と過去最多になりました。
1万4075社——企業数の増加が示す「産業化」の進み方
報告書は、氷雪観光が単なる旅行ジャンルではなく、商品開発・投資・施設運営を含む「産業」として厚みを増している点を示しています。発表の場となったのは、黒竜江省哈爾浜(ハルビン)市で開かれた「Ice and Snow Tourism Development Forum 2026」です。
伸びを支えたのは“体験の多様化”
CTAは、企業規模の拡大を後押しした要因として、革新的な観光商品が増えたことを挙げています。具体的には次のような体験が広がっているとされます。
- 氷彫刻(アイススカルプチャー)
- 氷雪をテーマにした写真体験(撮影ツアーや撮影スポットの整備)
- テーマ型の旅行体験(施設・イベント・周遊の組み合わせ)
象徴的な目的地としては、哈爾浜の「Harbin Ice-Snow World」や、長白山のスキーリゾートが成長を牽引したとされています。
「行きたい」人は74.8%——2025-2026冬シーズンの需要感
CTA研究員の韓元軍氏は、こうしたイノベーションが強い需要を支えていると指摘します。CTAの直近の調査では、回答者の74.8%が2025-2026年の冬シーズンに氷雪関連のレジャーに参加する予定と回答。さらに、50.5%が長距離移動を伴う冬の旅行を考えているといいます。
この数字は、近場の娯楽にとどまらず、「移動してでも体験したい」層が一定規模で存在していることを示唆します。
消費の中身が変化:「交通・宿泊」から「体験・文化・テック」へ
報告書が興味深いのは、支出構造の変化です。韓氏によると、消費は交通や宿泊といった「ハード支出」から、エンタメ、文化体験、テクノロジーといった「ソフト支出」へ比重が移りつつあるとされています。
同じ“冬の旅行”でも、何に価値を見いだすかが変わると、旅行商品の設計、現地の雇用、投資の向き先も変わっていきます。企業数の増加は、こうした変化に対応するプレイヤーが増えているサインとも読めます。
「屋内」需要が伸びる——南方地域での投資30億元
また報告書は、屋内型の氷雪エンターテインメント需要が拡大している点も強調します。2025年には中国南方地域が同分野に300億元を投資し、全体の30%を占めたとされます。屋内複合施設は主要な投資領域となり、季節に左右されにくい“通年型”の需要を生み出しているという見立てです。
次の焦点は「通年化」と「体験の質」
企業数の記録更新、参加意向の高さ、支出のソフト化、屋内施設への投資——これらは、氷雪観光が「冬だけの名物」から、より広いレジャー産業へと輪郭を広げていることを映します。今後は、通年での運営設計や、文化・技術を取り込んだ体験の質が、競争力を左右していきそうです。
“寒さ”そのものを価値に変える取り組みが、どこまで多様な地域・層に広がっていくのか。2026年の冬、中国の観光市場の変化を読み解く一つの手がかりになりそうです。
Reference(s):
China sees record number of enterprises in ice and snow tourism
cgtn.com








