ソマリア放射線科医が語る「中国留学が転機」—遠隔画像診断で医療不足に挑む video poster
2007年に18歳で中国本土へ留学したソマリア出身のアブドゥラヒ・アブディタワブ・ジャマ医師は、その選択が自らの医師人生だけでなく、帰国後の医療再建への関わり方まで形づくったと振り返ります。いまソマリアで深刻な専門医不足が続くなか、同氏が進める「遠隔放射線診断(テレラジオロジー)」の取り組みが注目されています。
2007年、18歳で中国へ——「未知の文化」から始まった学び
ジャマ医師が中国に渡ったのは2007年。叔父の後押しで、父親に「中国なら良い教育機会がある」と説得したことが出発点だったといいます。当時は文化的にもなじみが薄く、「文化の面では聞いたこともない国に行った」と語っています。
一方で、現地で受けた印象は温かいものでした。中国の人々について「本当に親切でオープン。中国語が話せなくても、手ぶりでコミュニケーションしようとしてくれる」と回想します。
日常の小さなやり取りが「人とつながる練習」になった
買い物や食事など、生活のあらゆる場面がコミュニケーションの実践の場だったといいます。「自分の言葉で話しても、手ぶりで分かってくれることがあった」という経験は、異文化環境で働く力の土台にもなったようです。
多国籍の教室で広がった視野——15カ国以上の仲間たち
学びの場は国際的でもありました。ジャマ医師によると、クラスメートは15カ国以上から集まっており、友情を通じて世界の見方が広がったといいます。「自分にとって、あれは人生で最高の出来事の一つだった」と表現しました。
2018年に帰国、放射線科医として現場へ——専門医不足を埋める試み
ジャマ医師は中国で学んだ後、2018年にソマリアへ帰国。本人の言葉では「この5〜6年」放射線科医として診療に携わり、ソマリ放射線学会の会長も務めています。
帰国後に力を入れてきたのが、全国規模のテレラジオロジー(遠隔で画像を読影し診断支援する仕組み)プロジェクトです。専門医が不足するなかでも、放射線診断の支援を各地の病院・クリニックへ届けることを狙います。
「ギャップを埋めたい」——遠隔で届く放射線診断
同氏は、国内で放射線科医が足りない現状を踏まえ、「できる限りギャップを埋めるよう努力している」と話します。さらに、先進的な画像検査サービスを提供する施設の一つとして「Sahan Diagnostic Center」の共同設立者でもあるといいます。
留学が「個人の成功」で終わらない理由——同窓ネットワークSOCPA
ジャマ医師によれば、中国で学んだソマリア人の専門職は、医療や工学分野を中心に帰国後の重要な役割を担っているとのことです。こうした流れを支える仕組みとして、帰国後に同級生らと「Somali Chinese Professional's Association(SOCPA)」という同窓ネットワークを立ち上げました。
SOCPAは年次の集まりを行い、中国大使館との関係も保ちつつ、帰国する卒業生を迎え入れ、仕事探しや再適応を支援しているといいます。加えて、高校卒業生が中国への奨学金を得られるよう後押しする活動も行っているとのことです。
静かに見えてくる論点:教育・ネットワーク・医療の「届き方」
ジャマ医師の歩みは、「海外で学ぶこと」が個人のキャリア形成にとどまらず、帰国後の制度づくりや人材循環に結びつきうることを示しています。専門医が限られる地域で、遠隔医療がどこまで医療の質とアクセスを底上げできるのか。留学経験者のネットワークが、現場の不足をどう補完できるのか。そうした問いが、同氏の言葉の背後に浮かびます。
本人は最後に、中国での経験を「得られるものが多い最高の経験の一つ」と表現しました。
Reference(s):
cgtn.com








