ミラノ・コルティナ冬季五輪で注目:選手を“競技復帰”へ導くスポーツ医学の鍵 video poster
2026年2月、ミラノ・コルティナ冬季五輪が進行するなか、世界最高峰の舞台で戦うアスリートにとって「けが」は夢を左右する現実です。華山医院(復旦大学)スポーツ医学センターの陳士毅氏は、競技復帰の鍵は手術だけでなく、心理面の支えと個別化されたリハビリにあると語りました。
けがの多くは「使いすぎ」——オーバーユースという背景
陳氏によると、トップアスリートのスポーツ外傷は、単発の大きな衝突だけでなく、競技特性によって同じ部位に負荷が繰り返しかかるオーバーユース(使いすぎ)が多いといいます。技術の反復、雪上でのターン動作、着地や踏ん張りなど、日々の積み重ねが特定部位の故障につながりやすい——という見立てです。
手術は「通過点」:心理支援と個別リハが競技レベルを戻す
治療で重要なのは外科的処置(手術)だけではありません。陳氏が強調するのは、次の2点です。
- 心理的サポート:不安や焦りを抱えやすい時期に、回復の見通しを共有し、気持ちを支える
- 個別化リハビリ:日常生活への復帰ではなく、「競技で戦える身体」を取り戻すために、競技特性に合わせて段階設計する
ゴール設定が「歩けるようになる」ではなく、「再び勝負の局面で動けるようにする」ことに置かれる点が、エリート競技のリハビリの難しさでもあります。
アルペンスキーに多い膝の大けが——前十字靭帯(ACL)断裂
冬季競技のなかでも、アルペンスキーでは膝のけが、とりわけ前十字靭帯(ACL)断裂が多いとされます。膝の安定性が損なわれると、競技中の負荷が別の組織に波及し、半月板などの損傷を招くこともあります。
4カ月で競技復帰した事例が示すもの
陳氏は最近の例として、関節の不安定さが長く続いた結果、半月板損傷と靭帯断裂に至ったアルペンスキーヤーを挙げました。半月板修復と人工靭帯による再建を行い、術後4カ月で競技に復帰したといいます。
もちろん、復帰の早さ自体が唯一の評価軸ではありません。ただ、このケースが示すのは、外科処置、段階的なリハビリ、そして状況に応じた判断がかみ合えば、復帰までの道筋を具体的に描けるという点です。
復帰を左右するのは「信頼と協働」
陳氏は、こうした回復を支える土台として、負傷した選手と医療チームの協力関係と信頼を挙げています。痛みや違和感の訴え、リハビリの負荷調整、復帰時期の見極め——どれも片方だけでは成立しにくく、日々の対話と合意形成が必要になります。
けがは競技人生の「終わり」ではなく、再設計の局面になり得る。ミラノ・コルティナの舞台裏では、そんな現場の積み重ねが、次の滑走や次のジャンプを支えているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








