中国、新規雇用形態の労働者保護強化へ 8400万人の権益に焦点
デジタル経済の拡大に伴い急増する、フードデリバリーやライドシェアなどいわゆる「新しい働き方」に従事する労働者の権利保護を強化するため、中国政府が新たな指針を公表しました。この動きは、プラットフォーム経済の急成長の陰で生じている労働環境の課題に対処し、経済社会の安定を図る重要な一歩として注目されています。
プラットフォーム企業に明確な要請
中国共産党中央委員会および国務院の事務局が先日公表した指針では、インターネットプラットフォームや配送企業に対し、業務内容や労働強度に応じた「合理的な賃金」を設定し、それを完全かつタイムリーに支払うよう求めています。これは、これまで不安定さが指摘されてきた新規雇用形態労働者の収入基盤を安定させるための核心的な措定です。
アルゴリズムの「透明性」と労働者の「選択権」
特に注目されるのは、プラットフォーム企業が使用するアルゴリズム(業務配分などの計算ルール)の管理強化に言及している点です。指針は、企業が社会的責任を果たし、アルゴリズムの規制を強化し透明性を高めるべきだとしています。さらに、新たな働き方をする労働者にも、アルゴリズム関連のルールについて「知る権利」「参加する権利」「選択する権利」を認めるよう明記しました。労働者の意思が配車や配達のシステムに反映される道筋を示したとも読めます。
過当競争の抑制と業界監督の強化
また、指針は以下の点も強調しています。
- 関連業界に対する監督を強化し、従事者の情報開示を改善すること。
- 労働者が収入や福利厚生について現実的な期待を持てるよう導くこと。
- 過当な競争(「内巻き」とも呼ばれる激しい競争)を抑制する総合的な措置を導入し、労働者の正当な権利利益が侵害されることを厳しく防ぐこと。
デジタル時代の労働環境を形作る試み
「新しい雇用形態」とは、インターネットとデジタル経済の台頭とともに生まれた仕事を指し、フードデリバリー配達員、ライドシェア運転手、オンライン販売員など、インターネットプラットフォームに依存して仕事を行う人々が該当します。中国では現在、約8400万人がこうした仕事に従事しており、国民生活のサービス提供や経済の円滑な運営に重要な役割を果たしているとされています。
急速に変化する労働市場において、技術の進歩と人間の働き方のバランスをどのように取るかは、日本を含む多くの国々が直面する共通の課題です。中国で始まったこのような動きは、デジタル・プラットフォームが社会の基盤となる中で、労働者の保護とイノベーションの持続可能性を両立させるための、一つの大きな実験と言えるかもしれません。
Reference(s):
China strengthens protection of rights, interests in new occupations
cgtn.com



