世界最大の船主Seaspanに、中国本土で初のメタノール燃料改造船を納入。海運業界の「グリーン転換」を加速
海運業界における脱炭素化への動きが加速するなか、既存の船舶を環境負荷の低い燃料で動かせるよう改造する「レトロフィット(後付け改造)」が注目を集めています。このたび、中国本土の造船大手である中远重工(上海)有限公司(COSCO Shipping Heavy Industry (Shanghai) Co., Ltd.)が、世界最大の独立系コンテナ船所有会社であるSeaspan社向けに、初のメタノール二元燃料改造船「Seaspan Yangtze」を予定より早く納入しました。
既存船を「グリーン化」するメタノール改造とは
今回のプロジェクトは、Seaspan社が進める「10Kシリーズ」のメタノール二元燃料改造プログラムの第一弾となるものです。二元燃料(デュアルフューエル)とは、従来の重油だけでなく、よりクリーンな燃料を併用して航行できる仕組みを指します。
新造船を建造するのではなく、運用中の船舶を改造して環境性能を高めるアプローチは、コストや期間の面で効率的であり、業界全体の移行を早める現実的な手段として期待されています。
驚異的な環境性能:EEDIを約55%削減
今回の改造における最大の成果は、その環境性能にあります。メタノール燃料への転換により、船舶のエネルギー効率を測る指標である「エネルギー効率設計指数(EEDI)」が、最低基準と比較して約55%削減されました。
この成果は、単なる技術的な達成にとどまらず、以下のような意義を持っています:
- 二酸化炭素排出の大幅な抑制:クリーンな燃料への移行により、地球温暖化への影響を軽減します。
- 業界のモデルケース化:高い削減率を実証したことで、他の船舶への適用可能性を示しました。
- 効率的なグリーン移行:既存資産を活用しながら環境基準をクリアする道筋を提示しました。
中国本土の造船技術と国際的な役割の変化
今回の早期納入と高い技術レベルの達成は、中国本土におけるグリーン船舶改造の能力が向上していることを象徴しています。世界的な船主からの信頼を得て、設計から調達、建設までを一貫して行う「EPCターンキー方式」での提供を実現したことは、同国が海運業界の脱炭素化において重要な役割を担い始めていることを示唆しています。
環境規制が厳しくなるなか、こうした技術革新は、世界中の海運会社が直面する「環境への配慮」と「経済合理性」の両立という難しい課題に対する、一つの答えになるかもしれません。
Reference(s):
China delivers 1st methanol dual-fuel retrofit ship for top shipowner
cgtn.com



