ジョコビッチ、ウィンブルドン史上最多14度目の準決勝へ
今年(2025年)のウィンブルドン選手権で、ノバク・ジョコビッチが男子史上最多となる14度目の準決勝進出を決めました。38歳にしてなお世界のトップで戦い続けるその姿は、スポーツニュースのみならず国際ニュースとしても大きな注目を集めました。
ジョコビッチは準々決勝で第22シードのフラビオ・コボッリと対戦し、6-7(6)、6-2、7-5、6-4で逆転勝ち。前人未到の四大大会25冠を目指すベテランが、芝のセンターコートで改めて存在感を示しました。
転倒から立ち上がった38歳の身体
試合終盤、ジョコビッチは2本目のマッチポイントでスライディングした際、「いやな」「ぎこちない」と自ら表現した転倒をしてしまいます。開脚するような形で滑り込み、そのまま芝生の上にうつ伏せに倒れ込むシーンは、多くのファンをヒヤリとさせました。
本人は直後に笑顔も見せましたが、会見では「もちろん、今の身体は以前と同じではありません。今回の転倒の本当の影響は、明日以降に感じることになるでしょう。ここから24〜48時間のうちに症状がひどくならず、2日後に痛みなくベストのプレーができることを願っています」と慎重な姿勢もにじませました。
38歳で、しかも四大大会25個目のタイトルを狙う立場にある選手にとって、こうした転倒は決して小さくないリスクです。それでもジョコビッチは立ち上がり、次の2ポイントを連取して試合を締めくくりました。
内容は決して「楽勝」ではなかった
スコアだけを見ると堂々たる逆転勝利ですが、その内容は決して楽な試合ではありませんでした。第1セットでは5-3とリードし、自身のサーブでセットを取るチャンスを迎えながらも、ラブゲームでブレークを許します。その後タイブレークでもセットポイントをつかみながら、四大大会準々決勝初進出のコボッリにセットを奪われました。
ベンチに戻るチェンジオーバーのたびに、ジョコビッチはストレッチや呼吸法で体を整え、集中力を保とうとしている様子が見られました。第4セットではミスショットの直後にラケットで自分のシューズを叩く場面もあり、センターコートの強い日差しに戸惑っているようにも見えました。
それでも、要所でのクオリティはさすがでした。試合を通じて13本のサービスエースを決め、21のサービスゲームのうち19ゲームをキープ。ドロップショットからロブ、さらに再びドロップショットへとつなぐ高度なコンビネーションでポイントを奪うなど、多彩なショットで観客を沸かせました。
アンフォーストエラー(自滅的なミス)も22本に抑え、これはコボッリのおよそ半分の数字でした。ミスを減らしながら勝負どころでギアを上げる、ジョコビッチらしい勝ち方だったと言えます。
14度目のウィンブルドン準決勝、その先にあるもの
この勝利で、ジョコビッチのウィンブルドン準決勝進出は男子史上最多となる14回目に到達しました。芝コートの聖地オールイングランド・クラブで、ここまで安定して結果を出し続けている選手は他にいません。
金曜日に予定されていた準決勝で、ジョコビッチは大会7大会連続の決勝進出をかけてコートに立つことになっていました。タイトルを重ねれば、ウィンブルドン男子シングルスで8度の優勝を誇るロジャー・フェデラーの記録にも近づくことになります。
次戦は世界1位シナーと再戦へ
準決勝の相手は、第1シードで世界ランキング1位のヤニック・シナーです。ジョコビッチは「今の自分のベストをすべて出さないと、ヤニックには勝てない。それはよく分かっています」と語り、この対戦への警戒感を隠しませんでした。
最近の対戦成績では、ジョコビッチはシナーに4連敗中で、その中には今年の全仏オープン準決勝での敗戦も含まれます。一方で、ウィンブルドンでは2戦2勝と相性の良さも見せてきました。2022年には準々決勝で、2023年には準決勝でシナーを下しています。
芝での実績と、直近での対戦成績。このギャップをどう埋めるのかは、男子テニスの世代交代を象徴するテーマとしても注目されていました。
もう一つの準決勝:アルカラス vs フリッツ
もう一つの男子シングルス準決勝は、テイラー・フリッツに挑む形で、2連覇中のカルロス・アルカラスが登場するカードでした。アルカラスは2023年と2024年のウィンブルドン決勝でジョコビッチを破っており、今大会でも有力な優勝候補と見られていました。
その意味で、今年のウィンブルドン準決勝は、「実績十分のベテラン」と「急成長する若手」の構図がよりはっきりと浮かび上がるステージだったと言えます。ジョコビッチにとっては、アルカラスやシナーといった新世代に再び挑む場でもありました。
このニュースから考えたい3つのポイント
今回のジョコビッチの勝利と準決勝進出は、単なるテニスの試合結果以上の意味を持っているように見えます。国際ニュースとして、次のような視点で振り返ることができます。
- アスリートの「年齢」とアップデートされるピークの概念
38歳で世界トップレベルを維持し、なお四大大会優勝を狙い続ける姿は、「ピークは何歳か」という従来の常識を問い直しています。 - 世代交代は「一気に」ではなく「重なり合う」
アルカラスやシナーのような若いスターが台頭する一方で、ジョコビッチは依然として深いラウンドに進出しています。世代交代は、ある日突然ではなく、世代が重なり合いながら進むプロセスなのかもしれません。 - メンタルと体のマネジメント
転倒のリスクと向き合いながらもプレーを続ける判断、チェンジオーバーごとのストレッチや呼吸法など、長期的なキャリアを支えるメンタルと身体管理の重要性も浮き彫りになりました。
今年のウィンブルドンでのジョコビッチの戦いぶりは、テニスファンだけでなく、仕事やキャリアの持続可能性を考える多くの人にとっても、何か示唆を与えてくれる出来事だったと言えるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








