女子ユーロ2025:イングランドが延長でイタリア撃破、劇的弾で決勝へ
女子サッカーの国際ニュースとして注目を集めた女子欧州選手権ユーロ2025準決勝で、イングランド代表がイタリア代表を延長戦の末に2―1で下しました。119分の決勝弾という劇的な展開は、女子サッカーの魅力と勝負の残酷さをあらためて印象づけるものとなりました。
119分の決勝弾でイングランドがタイトル防衛へ前進
ユーロ2025の準決勝は、一度は敗退が濃厚に見えたイングランドが土壇場で追いつき、最後の最後に勝ち越すというドラマになりました。
先制したのはイタリアです。前半33分、バーバラ・ボナンセアの鋭いボレーシュートがネットを揺らし、イタリアがリードを奪いました。その後もイタリアは、センターバックのエレナ・リナリとチェチーリア・サルヴァイが体を張った守備で、イングランドの猛攻を止め続けます。
後半86分には、途中出場のエンマ・セヴェリーニに絶好機が訪れました。コーナーキックの流れからゴール前でフリーとなりましたが、イングランドの守護神ハンナ・ハンプトンが至近距離のシュートをセーブ。ここで2点目を許さなかったことが、試合の行方を大きく左右することになります。
アジェマンの土壇場弾とケリーの執念
試合が終わりに近づいたアディショナルタイム、イングランドはついに同点に追いつきます。クロスボールをイタリアのGKラウラ・ジュリアーニがこぼしたところを、途中出場のミシェル・アジェマンが逃さず、低い弾道のシュートをゴールへ流し込みました。ボールはリナリとジュリアーニの両選手の足の間を抜けるようにネットへ吸い込まれ、イタリアにとっては非常に悔しい形の失点となりました。
延長に入っても勝負は決まりませんでしたが、ついにドラマのクライマックスが訪れます。延長後半、セヴェリーニがベス・ミードと絡んだプレーで反則を取られ、イングランドにPKが与えられました。キッカーを務めたのは、前回大会ユーロ2022の決勝でも決勝点を決めているクロエ・ケリーです。
ケリーのシュートはジュリアーニに一度は止められたものの、こぼれ球に素早く反応したケリーが自ら押し込み、119分に値千金のゴール。イングランドが2度の窮地を跳ね返し、決勝進出を決めました。
ケリーとアジェマンは、スウェーデンとの準々決勝でも大逆転劇の主役となっており、6日間で2度も崖っぷちから生還したイングランドの精神的な強さと、ベンチメンバーの層の厚さを象徴する存在となっています。
「誇りに思う」イタリアの善戦と、わずかな差
今回の試合は、イングランドの劇的勝利で終わった一方で、イタリアにとっては極めて厳しい結果でした。試合を支配したのはむしろイタリアの堅守だったと言ってよいでしょう。
アンドレア・ソンチン監督は試合後、「決勝まであと1分だっただけに苦い敗戦だが、このチームを誇りに思う」と語りました。大きな注目を浴びていたわけではないイタリア代表が、王者イングランドを土壇場まで追い詰めた事実は、チームの成長を物語っています。
ジュリアーニは同点弾と決勝点の場面で不運な形となり、試合終了の笛が鳴った後、自陣のピッチ中央にうつ伏せになったまましばらく動けませんでした。大会を通じて見せてきた安定感と、この試合での数々の好セーブを思えば、最後のわずかなミスで勝負が決したことは、ゴールキーパーというポジションの過酷さを象徴する場面でもありました。
ヴィーガマン監督、ユーロで続く無敗の物語
イングランドを率いるサリナ・ヴィーガマン監督は、試合後に「こういう終わり方になると楽しんではいるのですが、少しドラマチックすぎますね」と振り返りました。その言葉どおり、この準決勝は最後まで何が起こるか分からない展開でした。
ヴィーガマン監督は、母国オランダを率いた2017年の女子欧州選手権で優勝を果たした後、イングランド代表の指揮官に就任しました。それ以来、女子欧州選手権では常にタイトル争いの中心に立ち続けており、今回も連覇をかけた決勝へとチームを導いています。
スペインかドイツか、因縁の相手が待つ決勝へ
この準決勝の勝利により、イングランドはバーゼルで行われた決勝で、スペインかドイツの勝者とタイトルを争う権利を得ました。両国はいずれも、イングランドにとって因縁深い相手です。
イングランドはユーロ2022の決勝でドイツを破り、ケリーの延長戦でのゴールによって初優勝を飾りました。一方で2023年の女子ワールドカップ決勝ではスペインと対戦し、世界一の座を争っています。ユーロ2025の決勝は、こうした近年のライバル関係の延長線上にある一戦でもありました。
この試合から見える女子サッカーの現在地
イングランド対イタリアの準決勝は、単なる劇的な逆転劇にとどまらず、女子サッカーの現在地と今後を考えるうえでも示唆に富んだ試合だったと言えます。日本から国際ニュースとしてこの試合を振り返ると、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 最後の1分まで集中力を切らさないことが、勝敗を大きく左右すること
- ケリーやアジェマンのように、途中出場選手が試合の流れを変える重要な存在になっていること
- イタリアのリナリやサルヴァイのように、守備陣の献身が試合の質を大きく引き上げていること
- 監督の采配やメンタル面のマネジメントが、短期決戦の大会では決定的な意味を持つこと
女子サッカーはここ数年で世界的に注目度が高まり、日本でも代表戦や海外リーグを追いかけるファンが増えています。ユーロ2025準決勝のようなハイレベルでドラマ性の高い試合は、その流れをさらに後押しする存在と言えるでしょう。
勝者イングランドの強さと、あと一歩で決勝に届かなかったイタリアの健闘。そのどちらにも光を当てることで、私たちはスポーツの持つ多面的な価値をより深く味わうことができます。
Reference(s):
England break Italy's heart in extra time to make final at Euro 2025
cgtn.com








