大阪万博2025中国館「中国竹簡書」の秘密 3,500㎡の巨大竹簡建築 video poster
2025年の大阪・関西万博の中国館でひときわ目を引いたのが、約3,500平方メートルの巨大な建築作品「中国竹簡書」です。古代の竹簡をモチーフに、中国文明のエッセンスを刻み込んだこのパビリオンの舞台裏を、中国工程院の崔愷院士が明かしています。
古代の竹簡が巨大建築に生まれ変わる
中国館の中心に据えられた「中国竹簡書」は、その名の通り、古代中国で使われていた竹簡の書物から着想を得た建築です。細い竹片を束ねたようなシルエットと、ページがゆるやかに開かれていくようなダイナミックな外形が特徴で、来場者はまるで一冊の本の中に入り込んだような感覚を味わえます。
約3,500平方メートルという規模は、単なる展示ホールを超え、「建築そのものが展示物」と言えるスケール感です。外装には精緻な彫刻やパターンが施され、光の当たり方によって表情を変えるデザインは、竹林の揺らぎや紙の陰影を連想させます。
何がユニークなのか:3つのポイント
「中国竹簡書」を際立たせている要素は、大きく次の三つに整理できます。
- 形そのものがメッセージ:開かれた竹簡を象った立体構成は、「文明をひらく」「知を共有する」というメッセージをそのまま建築のかたちで表現しています。
- 刻まれたディテール:外壁や内部空間には、中国文明を象徴する文様やモチーフが彫り込まれています。文字、自然、都市、科学技術など、異なる時代と分野のイメージがレイヤーのように重ねられています。
- 歩きながら読む体験:来場者は空間を移動することで、竹簡の「ページ」を一枚ずつめくるように物語をたどっていきます。見るだけでなく、身体を通じて「読む」構成になっている点が特徴です。
崔愷院士が込めた設計コンセプト
中国工程院の崔愷院士は、このパビリオンを通じて「中国文明の核心を、現代的なかたちで示したい」と考えたとされています。古代のメディアである竹簡と、現代の建築・テクノロジーを重ね合わせることで、過去から未来への連続性を可視化しようとしたのが出発点です。
設計の背景には、次のようなコンセプトがあると整理できます。
- 文明の記憶を可視化する:竹簡は、歴史や思想、詩などを記録してきた「知の器」です。そのイメージを建築に翻訳することで、中国文明が蓄えてきた記憶や物語を、誰もが体感できる空間として表現しています。
- 開かれた中国像を示す:閉じた巻物ではなく、開かれた竹簡をモチーフにすることで、世界と対話し、知識や文化を共有していく姿勢を象徴しています。万博という国際的な場にふさわしい、開放性を前面に出したデザインです。
- サステナブルな未来志向:竹というモチーフは、再生可能で環境負荷の小さい素材の象徴でもあります。建築の構造や素材選びにも、環境への配慮や効率的なエネルギー利用といった、持続可能性の視点が組み込まれています。
細部に潜む「隠しディテール」を読み解く
このパビリオンの魅力は、遠目に見たインパクトだけではありません。近づいてよく見ると、表面に刻まれた文様やラインの一つひとつが、物語の断片として設計されています。
- 竹片のような縦のリズムは、古代の書記体系や詩の韻律を連想させます。
- 光の当たり方によって浮かび上がる陰影は、竹林の揺れや書物のページをめくる瞬間をイメージさせます。
- 抽象化された図像には、自然風景、都市のシルエット、技術やイノベーションを示すモチーフなどが織り込まれ、中国文明の多層性が表現されています。
こうしたディテールは、一見すると装飾のようでありながら、来場者が「これは何を意味しているのか」と考え、対話を始めるきっかけにもなります。崔愷院士の狙いは、完成された物語を一方的に伝えるのではなく、来場者それぞれが自分なりの読み方を見つけられる「余白」を残すことにあると言えるでしょう。
訪れる人が押さえておきたい見どころ
これから中国館を訪れる人、あるいはすでに訪れた経験を振り返りたい人に向けて、「中国竹簡書」を楽しむポイントを整理しておきます。
- 全体を一度、引きで眺める:まずは少し距離をとって外観を眺め、竹簡がどのように建築として構成されているかを意識してみてください。
- 彫刻や文様に近づいてみる:表面のパターンや刻まれたラインを細かく観察すると、文明や都市、自然を象徴するモチーフが見えてきます。
- 移動しながら空間の変化を感じる:通路やホールを歩くなかで、光の入り方や空間の広がりがどのように変化するかに注目すると、「ページをめくる」感覚がより鮮明になります。
国際ニュースとしての意味合い
万博は、各国・地域が自らの技術や文化を紹介する「ショーケース」です。その中で、中国館の「中国竹簡書」は、ハイテクや経済力だけでなく、長い歴史と文明の厚みを前面に出した点で、独自の存在感を放っています。
建築という共通言語を通じて、中国文明を「読む」体験を提示したことは、国際社会に向けて、自国の物語をどのように語るかという問いを投げかけてもいます。日本から訪れた人にとっても、「中国をどう見るか」を更新するきっかけになったはずです。
2025年という節目の年に披露された「中国竹簡書」は、万博の会期が終わったあとも、写真や映像、そして訪れた人の記憶のなかで、「開かれた一冊の本」として読み継がれていくのかもしれません。
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Reference(s):
Hidden details of 'Chinese Bamboo Book' at the 2025 Osaka World Expo
cgtn.com








