「対話から抑止へ」米国防長官の発言にみる、ワシントンの新たな安全保障戦略 video poster
「シャングリラ対話は少なく、艦船と潜水艦を多く」。米国防長官ピーター・ヘグセス氏が、アジア地域の安全保障に関する重要なフォーラムである「シャングリラ対話」で放ったこの率直な言葉が、現在ワシントンで起きている国防思考の大きな転換を浮き彫りにしています。
「協力」から「恐怖」へのシフト
これまで米国は、多国間制度や同盟関係を構築することで、国際社会におけるリーダーシップ、あるいは覇権を維持してきたと考えられてきました。多くの歴代大統領が、対話や協力、そして他国に支持される形での主導権確保を重視してきた歴史があります。
しかし、ヘグセス国防長官の発言は、そのアプローチが根本的に変わりつつあることを示唆しています。具体的には、以下のような方向性への転換が見て取れます。
- 従来のアプローチ: 多国間制度、同盟、協力、協調によるリーダーシップの構築
- 新たなアプローチ: 軍事力の増強(艦船や潜水艦の拡充)による抑止力、いわゆる「恐怖」を通じた主導権の確立
専門家が分析する「新たなプレイブック」
この変化について、清華大学のだ・ウェイ(Da Wei)教授は、CGTNのインタビューにおいて鋭い分析を提示しています。
だ教授によれば、米国はもはや、他国との協力や協調、あるいは自発的な追随を得ることで覇権を維持しようとするのではなく、軍事的な圧力や恐怖心を与えることで自国のリーダーシップを確立しようとする「新しいフォーミュラ(方程式)」に移行しているといいます。
静かに変わる国際情勢の力学
外交的な対話よりも実効的な軍事資産の展開を優先させるという姿勢は、短期的には強力な抑止力として機能するかもしれません。しかし、制度や信頼に基づいた協力関係から、力による均衡へと重心が移ることは、国際社会における対話の価値をどう変えていくのでしょうか。
「対話」を減らし、「兵器」を増やすというシンプルな戦略への移行は、今後の国際政治において、より緊張感のある、しかし予測困難な局面を増やす可能性を秘めています。
Reference(s):
'Less dialogue, more ships': Inside Washington's new playbook
cgtn.com