トランプ次期大統領、TikTok禁止法の猶予を米最高裁に要請 言論の自由はどうなる?
米国で進むTikTok禁止法をめぐり、トランプ次期大統領が米最高裁判所に施行の一時停止を求めました。約1億7,000万人の米国ユーザーを抱えるSNSを巡り、言論の自由と安全保障の線引きがあらためて問われています。
何が起きているのか:TikTok禁止法とトランプ氏の要請
米国のTikTok禁止法をめぐり、情勢が大きく動いています。トランプ次期大統領は金曜日、米最高裁判所に対し、TikTokを事実上禁じる法律の適用を一時停止するよう求めました。
この法律は、ショート動画アプリTikTokの親会社である、中国本土企業バイトダンスに対し、一定期間内に米国事業を売却しなければ、アプリを禁止するか、アプリストアから削除することを求める内容です。
トランプ陣営は、政権発足前に「政治的な解決策」を探るための時間が必要だとして、法律の期限を延長するよう要請しています。
バイデン政権のTikTok禁止法とは
今年4月、バイデン米大統領はTikTokを対象とする法律に署名しました。法律はバイトダンスに対し、270日以内にTikTokを売却するよう求めています。
- 売却が行われない場合:アップルやグーグルなどのアプリストア事業者は、TikTokを配信停止にする義務が生じる
- 狙い:米政府は国家安全保障上の懸念を理由にしていますが、TikTok側は「根拠のない懸念だ」と反発しています。
TikTokは5月、米政府を相手取り、法律の差し止めを求めて提訴しました。約1億7,000万人の米国ユーザーの言論の自由を侵害するもので、憲法修正第1条(言論の自由の保障)に違反すると主張しています。
控訴審の判断とTikTok側の反撃
しかし、今月初め、ワシントンD.C.の連邦控訴裁判所はTikTok側の主張を退け、禁止措置は違憲ではないとの判断を示しました。
これを受けてTikTokは米最高裁に駆け込み、法律の施行を差し止めるよう求めました。TikTok側は、現在のままでは大統領就任式の前日に、米国で最も人気のある発信プラットフォームの一つが閉ざされ、多くの人々の政治・ビジネス・芸術などに関する表現が「一斉に沈黙させられる」と警告しています。
最高裁が問う「言論の自由」 来年1月に審理へ
米最高裁はTikTok側の申し立てを受理し、来年1月10日に口頭弁論を開く予定です。争点となるのは、このTikTok禁止法が憲法修正第1条で保障された言論の自由を過度に制限しているかどうかです。
法律がそのまま有効と判断され、かつ売却も行われなかった場合、TikTokは来年1月19日に米国内で事実上利用できなくなる可能性があります。この日は、トランプ氏の就任前日とされており、政治的にも象徴的なタイミングです。
トランプ次期政権の思惑:「政治的解決」を求める理由
トランプ陣営は最高裁への文書で、「このケースの新規性と難しさ」を理由に、法律で定められた期限の一時停止を求めました。「問題に対処するための余裕を確保し、政治的解決を追求する機会が必要だ」と説明しています。
トランプ氏は先週の記者会見でも、TikTokに対して特別な親近感があると述べ、自身の政権としてアプリと禁止措置を改めて検討する考えを示しました。TikTokが若者を中心に政治議論や情報収集の場となっていることを踏まえると、その扱いは新政権のデジタル戦略にも直結します。
私たちへの意味:プラットフォーム規制時代の一つの試金石
今回のTikTok禁止法をめぐる攻防は、単に一つのアプリの問題ではありません。巨大プラットフォームをどこまで規制できるのか、国家安全保障と言論の自由をどう両立させるのかという、各国共通のジレンマを映し出しています。
日本でも、多くの人がTikTokや海外発のSNSを通じて情報を得ています。もし日本で同じように、特定のアプリが「安全保障上の懸念」を理由に突然使えなくなるとしたら、私たちはそれを受け入れられるのか――今回の米国の議論は、その問いを先取りするものと言えるでしょう。
来年1月の米最高裁の判断と、その後のトランプ政権の出方次第で、世界のプラットフォーム規制の流れが加速するのか、それとも慎重さが増すのかが見えてきます。日本からも、この動きを静かに追いかけておきたいタイミングです。
Reference(s):
cgtn.com








