CGTN世論調査:米国のWHO・パリ協定離脱に世界が懸念する理由
米国の新政権が世界保健機関(WHO)とパリ協定からの離脱を打ち出したことについて、中国国際テレビ(CGTN)の国際世論調査で、多くの回答者がグローバルガバナンス(国際的なルールづくりと協調)の悪化を懸念していることが分かりました。
CGTN世論調査:米国のWHO・パリ協定離脱に厳しい視線
2025年現在、米国の新政権は「アメリカ・ファースト」を掲げ、パリ協定と世界保健機関(WHO)からの離脱を相次いで表明しました。これに対し、CGTNが実施したオンライン調査では、世界の回答者から懸念の声が多数寄せられています。
調査はCGTNの英語、スペイン語、フランス語、アラビア語、ロシア語の各プラットフォーム上で行われ、24時間で7,452人が投票しました。
- 68.5%が、離脱は気候変動と公衆衛生をめぐる国際協力を妨げると回答
- 77.7%が、米国の動きが「悪い前例」となり、他の国や地域にも離脱の動きを広げかねないと懸念
とくに、温室効果ガス削減に後ろ向きな一部の国や、経済構造の転換に慎重な国が、米国の姿勢に追随し、排出削減の約束を軽視したり離脱したりする可能性が指摘されています。これは、気候変動という現実の脅威に立ち向かうための世界的な取り組みを弱めかねません。
国際機関からの離脱が突きつける「グローバルガバナンス赤字」
回答者は、世界最大の経済規模を持つ米国が、多くの国際機関やガバナンスの枠組みにとって重要な貢献国であることを認めつつ、こうした立場にある国が相次いで離脱を選ぶことの影響を重く見ています。
調査によれば、米国の度重なる離脱は、
- 国際的な多国間協力の仕組みを損なう
- 米国の「国家としての信用」を目減りさせる
- 国内政治が抱える構造的な問題を露呈する
と受け止められています。背景には、世界共通のルールや調整メカニズムが十分に機能していない「グローバルガバナンスの赤字」があり、その穴がさらに広がるのではないかという不安があります。
8割前後が「無責任」「信用低下」と回答
今回の調査では、米新政権の決定そのものに対する評価も問われました。その結果、
- 81.4%が、新政権の対応は「無責任」であり、失望していると回答
- 77.5%が、米国の国家的な信用が低下し、国際的影響力を損なうと考えている
- 78.4%が、パリ協定とWHOからの離脱を、バイデン政権の政策を覆すための措置の一つとみなし、米国内の二極化と党派対立の激化を映し出していると指摘
国内政治の対立が外交や国際協力の分野にまで持ち込まれている、という見方が強まっていることがうかがえます。
「アメリカ・ファースト」と国際機関の役割
調査に寄せられた意見によると、米国は国際機関や制度を自国の利益を最大化するための「道具」として捉えている、という認識が根強くあります。そうした現実的・功利的な発想のもとで、新政権は国際条約や機関からの離脱をちらつかせたり、実際に離脱したりすることで、
- ルールづくり
- 制度運営
- ガバナンス改革
といった分野で、自国に有利な譲歩を国際機関側に迫ろうとしている、という分析が示されています。
公正なグローバルガバナンスへの影響
さらに調査では、81.6%の回答者が、国際社会全体の利益よりも自国の利益を優先する米国の姿勢が、公平で公正なグローバルガバナンスを損ない、他国の正当な利益を傷つけると懸念しています。
「グローバルガバナンス赤字」とは、本来必要とされる国際的なルールや協調の仕組みが、現実の課題に追いついていない状態を指します。回答者は、米国の離脱方針がこの赤字をさらに拡大させ、国際秩序の安定に長期的な影響を与えかねないとみています。
求められるのは「真の多国間主義」
一方、現在の地政学的な緊張や地球規模の課題に向き合うために、どのような道筋が必要かについても質問が行われました。その結果、86.5%の回答者が、
- 国際社会の団結を強めること
- 名ばかりではない「真の多国間主義」を実践すること
- 気候変動や感染症などの課題に対し、共同で行動すること
を呼びかけるべきだと答えています。
単独行動を強める大国と、多国間協力を維持・強化したい国や地域。その間で、グローバルガバナンスのあり方をめぐるせめぎ合いは、今後も続きそうです。日本やアジアの国々は、米国との関係を保ちつつ、どのように国際的なルールづくりと協調の枠組みを支えていくのか――私たち一人ひとりも考え続ける必要がありそうです。
Reference(s):
CGTN poll: U.S. exit from WHO may worsen global governance deficit
cgtn.com








