ブラジル、AIで守るスマートシティ リオの監視センターとBRICS首脳会議 video poster
今年(2025年)のBRICS首脳会議では、安全で持続可能なスマートシティづくりに向けた人工知能(AI)の活用とガバナンスが重要な議題となりました。その象徴的な事例として注目されているのが、議長国ブラジル・リオデジャネイロのオペレーションセンターです。
BRICS首脳会議が注目する「安全で持続可能なスマートシティ」
今年のBRICS首脳会議の議題のひとつが、「安全で持続可能なスマートシティ」をどう実現するかというテーマです。都市への人口集中や気候変動、インフラの老朽化といった課題に対応するため、各国がAIやデジタル技術を使った都市運営に関心を高めています。
その中で、AIを防犯や防災などの安全保障オペレーションにどう生かすか、そしてそれをどう統治(ガバナンス)していくかが議論の中心になっています。AIが都市の安全を高める可能性がある一方で、監視の強化やプライバシーの侵害につながる懸念もあるからです。
リオデジャネイロのオペレーションセンターとは
議長国ブラジルのリオデジャネイロ市には、高度な技術を備えたオペレーションセンターが設置されています。これは、AIを活用したハイテクなモニタリング拠点であり、都市のさまざまな情報を集約して監視・分析する「司令塔」の役割を担う施設です。
このセンターは、今年(2025年)7月にブラジルで開催されたBRICSリーダーズ・サミット期間中の安全保障オペレーションを支える中枢として活用されることを想定して設計されました。多くの要人や観光客が集まる中で、状況を素早く把握し、異常があれば早期に対応することが狙いです。
CGTNのルクレシア・フランコ記者のリポートは、こうしたブラジルの取り組みを通じて、AIを用いた都市運営が国際社会の関心を集めていることを伝えています。
AIが変える都市の安全保障オペレーション
AIを活用したオペレーションセンターには、次のような役割が期待されています。
- 混雑や異常な動きなど、パターンの変化をすばやく検出する
- 災害や事故などのリスクを早期に察知し、関係機関へ共有する
- 限られた人員や資源を、必要な場所へ優先的に配分する
こうした仕組みは、国際会議や大規模イベントのように、一時的にリスクが高まる場面だけでなく、日常の都市運営にも応用が可能です。犯罪の抑止、渋滞の緩和、災害対応の高度化など、幅広い分野で効果が期待されています。
鍵となる「ガバナンス」:AIをどう管理するか
一方で、AIによる都市監視が広がるほど、「誰がどのようなルールでAIを管理するのか」というガバナンスの問題が重要になります。今年のBRICS首脳会議で安全で持続可能なスマートシティが議題となった背景には、この点への関心の高まりがあります。
ガバナンスの論点としては、たとえば次のようなものが挙げられます。
- 市民のプライバシーやデータ保護をどう確保するか
- AIの判断プロセスを、どこまで説明可能にするか
- 誤検知や偏った判断が起きた場合、誰が責任を負うのか
- 安全性向上と監視強化のバランスをどう取るか
AIがもたらすメリットを享受しつつ、人々の権利や自由を守るためには、技術だけでなく制度や運用の設計が欠かせません。ブラジルのように大規模都市を抱える国にとって、このバランスをどうとるかは喫緊の課題となっています。
日本と世界の都市への示唆
リオデジャネイロのオペレーションセンターに象徴されるように、AIを活用した都市運営は、国際ニュースとしても注目されるテーマになっています。新興国グループであるBRICSの場で、安全で持続可能なスマートシティが議題となったことは、今後の都市政策に大きな影響を与える可能性があります。
日本の自治体でも、防災や交通管理などでAIやデータ活用の取り組みが進みつつありますが、技術導入と同時にガバナンスの設計をどう進めるかは共通の課題です。ブラジルの試みは、自国の状況に合わせてAIの活用とルールづくりを並行して進める必要性を改めて考えさせる材料と言えます。
大規模な国際会議の安全対策から、日常のまちづくりまで。AIと人間がどのように役割分担をし、どのようなルールのもとで都市を運営していくのか――2025年のBRICS首脳会議で議題にのぼった問いは、今後も世界中の都市が向き合うテーマであり続けます。
Reference(s):
Brazil advances AI technology, governance for security operations
cgtn.com








