韓国ユン前大統領を権力乱用などで起訴 戒厳令を巡り捜査拡大
韓国のユン・ソクヨル前大統領が、戒厳令を巡る権力乱用などの罪で起訴されました。現職時代の前例のない行動をどう裁くのか、韓国政治の行方に注目が集まっています。
戒厳令宣言から続く前例なき捜査
韓国のユン・ソクヨル前大統領は、昨年の戒厳令宣言をめぐる反乱容疑の捜査が続く中で、今月土曜日に新たに権力乱用などの罪で起訴されました。これは国際ニュースとしても注目される動きです。
問題の発端は、昨年12月3日にユン氏が戒厳令を宣言し、民政を揺るがしたとされる一連の行動です。ユン氏は、国会が戒厳令を否決することを防ぐため、軍部隊を国会議事堂に派遣し、文民統制を事実上弱めようとしたとされています。
ユン前大統領をめぐるこれまでの経緯
ユン前大統領を取り巻く動きは、この1年余りで急速にエスカレートしてきました。
- 昨年12月3日 戒厳令を宣言し、国会に軍部隊を派遣
- 今年1月 数週間にわたり捜査当局の逮捕を大統領警護部隊を使って拒み続けた末、現職大統領として初めて拘束
- 今年3月 手続き上の問題を理由にいったん釈放されるが、反乱罪をめぐる公判は継続
- 先週 証拠隠滅の恐れがあるとして、再び逮捕
- 今月土曜日 検察が権力乱用などの罪で正式に起訴
ユン氏は最初に拘束された際、数週間にわたって逮捕に抵抗し、大統領警護要員を使って捜査当局の接近を妨げたとされています。
起訴された主な容疑
ソウルの検察当局によると、今回ユン氏が起訴された主な容疑は次の通りです。
- 職権乱用
- 特別公務執行妨害(捜査当局の職務を妨げた疑い)
- 戒厳令宣言に必要とされる全閣僚会議を開かず、正式な手続きを踏まなかった疑い
- 首相と国防相が戒厳令を承認したとする虚偽の文書を作成し、その後破棄した疑い
検事の朴ジヨン氏は記者団に対し、ユン前大統領が戒厳令の宣言にあたり法定の手順を守らなかったと説明しました。また、首相と国防相の同意があったかのように見せる虚偽の文書を作成し、のちに破棄したとしています。
ユン前大統領側は強く反発
一方、ユン前大統領は再逮捕後、検察による取り調べへの出頭を拒否し続けています。ただ、先週金曜日に行われた逮捕状の取り消しを求める審問には姿を見せました。
弁護団によると、ユン氏は法廷で30分以上にわたり自らを弁護し、自身の身体能力の制限や直面している困難についても語ったとされています。しかし、裁判所は逮捕状の取り消しを認めず、拘束は続いています。
猛暑の中での独房拘束
ユン前大統領は現在、単独の独房で勾留されています。房内には扇風機はあるもののエアコンはなく、韓国各地を猛暑が襲う中で、厳しい環境に置かれていると伝えられています。
韓国政治と法治主義への影響
現職大統領が自らの権限を使って戒厳令を宣言し、その後反乱容疑や職権乱用で捜査と公判の対象となるのは、韓国でも極めて異例です。ユン前大統領は、現職の指導者として初めて身柄を拘束された人物でもあります。
今回の一連の動きは、韓国社会における文民統制と軍の関係、そして大統領権限のあり方を改めて問い直すものとなっています。国際ニュースとしても、政権トップの行動をどこまで司法が検証できるのかという、法治主義の試金石として注目されています。
今後の公判では、戒厳令の必要性や手続きの正当性、虚偽文書作成の有無などが争点となる見通しです。判決の内容次第では、韓国の政治制度や安全保障政策に長期的な影響を与える可能性もあります。
ユン前大統領の裁判は長期化する可能性が高く、韓国国内の政治状況だけでなく、東アジアの安全保障環境や国際社会との関係にも波紋を広げるかもしれません。今後の捜査と裁判の行方を、引き続き注視する必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








