国連「2024年に人道支援要員383人死亡」ガザとスーダンで深刻化
国連は、人道支援に携わる人々の安全がかつてないほど脅かされていると警告しました。最新の統計によると、2024年に少なくとも383人の人道支援要員が殺害され、記録上最多となりました。
2024年、犠牲者は前年比3割増の383人
この数字は、毎年8月の世界人道デーに合わせて国連が公表したものです。2024年の犠牲者383人は、その前年と比べて31%増加しました。国連は、こうした攻撃と責任追及の欠如について「国際社会の無関心を示す恥ずべき証しだ」と強い言葉で非難しています。
報告によれば、攻撃の加害者として最も多かったのは国家の武装勢力などの「国家主体」で、多くの犠牲者は現地出身のスタッフでした。彼ら・彼女らは、支援活動の最中だけでなく、自宅にいるときにも襲撃されていたといいます。
2024年に確認された主な被害は次の通りです。
- 殺害:383人
- 負傷:308人
- 拉致:125人
- 拘束:45人
国連の人道問題担当トップであるトム・フレッチャー国連事務次長(人道問題調整官)は、「一人の人道支援要員への攻撃は、すべての支援者と、私たちが仕える人々への攻撃だ」と述べ、攻撃が続いているにもかかわらず加害者がほとんど裁かれていない現状を強く批判しました。
ガザとスーダンが犠牲拡大の中心
国連によると、2024年の犠牲増加を押し上げた主な要因は、ガザとスーダンでの激しい武力衝突でした。ガザでは181人、スーダンでは60人の人道支援要員が殺害されたとされています。
国連は、民間人と人道支援要員の保護は国際人道法の基本原則であり、支援活動を意図的に標的にすることは明確な違反だとあらためて強調しました。
2025年も続く深刻な暴力
人道支援要員への暴力は2024年で終わっていません。人道支援要員に関するデータベース「Aid Worker Security Database」の暫定値によると、2025年も8月14日までに少なくとも265人の人道支援要員が殺害されています。国連は、今年の状況も「同じくらい憂慮すべきだ」と警鐘を鳴らしています。
世界保健機関(WHO)も、2025年に入ってから16の地域で医療に対する攻撃を800件以上確認しており、その結果、医療従事者や患者ら少なくとも1,110人が死亡し、数百人が負傷したと報告しました。WHOは、こうした攻撃によって「地域社会が最も必要とするときに命を救う医療が奪われ、すでに逼迫している保健システムがさらに弱体化する」と警告しています。
「暴力は避けられない運命ではない」国連のメッセージ
国連は、援助要員や支援拠点への攻撃は国際人道法に反するだけでなく、戦争や災害に巻き込まれた人々の「命綱」を断ち切る行為だとしています。フレッチャー事務次長は「暴力は避けられない運命ではない。終わらせなければならない」と述べ、影響力を持つすべての関係者に対し、民間人と人道支援要員を守り、加害者の責任を追及するよう改めて求めました。
私たちが離れた場所からニュースを読むときでも、人道支援の現場で何が起きているのかを知り続けることは、暴力に対する「無関心」を少しでも減らす一歩になります。世界人道デーは、2003年にイラクのバグダッドで国連人権担当トップのセルジオ・ヴィエイラ・デメロ氏を含む22人の人道支援関係者が爆弾攻撃で命を落とした出来事を記念する日です。今年の国連のメッセージは、あの日から20年以上がたった今も、人道支援に携わる人々の安全をどう守るのかという問いが続いていることをあらためて突きつけています。
Reference(s):
cgtn.com







