満杯のカートとゴミ箱:ギリシャで深刻化する食品ロスの矛盾 video poster
物価高で家計が厳しいはずなのに、食べ物は捨てられ続けている――。EUの中でも食品ロスが多いとされるギリシャで、暮らしの痛みと廃棄の増大が同時に進む「ねじれ」が改めて浮かび上がっています。
数字で見る「EUの食品ロス」とギリシャの突出
提示されたデータによると、EUでは2023年に推計5,820万トンの食料が廃棄されました。しかも、最大の要因は家庭で、全体の約53%を占めるとされています。
その中でギリシャは、1人あたり201キログラムを廃棄し、EU平均の130キログラムを大きく上回ります。節約ムードが強まる欧州の空気感の中で、ギリシャの水準は特に目を引きます。
「捨てる量が多い」のに「十分に食べられない」人がいる
矛盾は、家計の厳しさを示す別の数字でも表れます。ギリシャでは、11.3%の人が「1日おきにきちんとした食事を取る余裕がない」と答えており、EU平均(8.5%)を上回っています。
一方で、食べられるはずの食品が埋め立て地へ向かう。生活コストの圧力が強いほど「買い方は慎重になる」はずなのに、結果として廃棄が減らない――この同居が、問題の輪郭をよりはっきりさせます。
なぜ家庭の食品ロスが減りにくいのか
家庭由来が過半を占めるという点は、対策の焦点も「家庭の台所」にあることを示唆します。食品ロスは、景気や物価だけでは説明しきれない生活の慣性の中で生まれやすいからです。
- 買い置きの増加:不安が強い時期ほど「念のため」に買い足し、使い切れずに残ることがあります。
- 量と頻度のミスマッチ:値上げ局面ではまとめ買いが増えやすい一方、消費ペースが追いつかないことがあります。
- 家庭内の見えにくさ:レシートには「買った金額」は残りますが、「捨てた量」は記録されにくい傾向があります。
今回のデータは、食品ロスを「もったいない」の一言で片づけるよりも、生活の不安・購買行動・家庭内の管理の難しさが絡み合う現象として捉える必要を示しています。
2025年のいま、注目される理由
2023年のEU推計値が示すように、食品ロスは「家庭が最大の現場」です。景気や物価の揺れが続くなかで、家計の痛みと資源の無駄が同時に進む構図は、ギリシャに限らず欧州全体の課題として静かに広がっています。
満杯の買い物カートと、満杯のゴミ箱。その間に何が起きているのか――数字は、生活の実感と政策課題が交差する地点を指し示しています。
Reference(s):
cgtn.com



