ゼレンスキー氏が「20項目の和平案」初公表 焦点はドンバスと原発
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が今週24日(現地時間)、ウクライナと米国が協議してきた「20項目の枠組み和平案」の主要点を初めて明らかにしました。ロシア・ウクライナ紛争の終結に向けた“たたき台”になり得る一方、最も難しい論点はなお合意に至っていないとしています。
「28項目」から「20項目」へ――協議は“詰め”の段階に
ゼレンスキー氏によると、従来の28項目案を数週間かけて修正し、多くの争点で立場が「大きく近づいた」といいます。「文書の最終化に向けて大きく前進した」と述べ、合意文書づくりが佳境に入っていることを示唆しました。
それでも残る2大未決着:ドンバスとザポリージャ原発
ただし、米国との間で一致していない主要論点が2つあると説明しています。
- ドンバス(ドネツク地域を含む)をめぐる管理・領土問題
- ザポリージャ原子力発電所(欧州最大級)の運用・管理
また、この案にはウクライナのNATO加盟の希望についての言及はないとされています。
20項目和平案の骨子(公表内容の要点)
ゼレンスキー氏の説明と同氏の事務所が共有した内容として、主なポイントは次の通りです。
- ウクライナの主権を再確認する。
- ロシアとウクライナの完全かつ疑いのない不侵略合意。宇宙ベースの無人監視による「接触線」監視メカニズムを設け、違反の早期通報と紛争解決を図る。
- ウクライナに強固な安全保障を提供する。
- ウクライナは現行の兵力(80万人)を維持する(縮小要求があった案から変更)。
- 米国、NATO、欧州諸国が、NATO創設条約の「第5条(集団防衛)」に似た保証を提供する。
- ロシアは欧州とウクライナへの非侵略方針を法令・批准文書に明記し、国家院(下院)で圧倒的多数の批准を含めて正式化する。
- ウクライナは、特定された日付でEUに加盟。短期的に欧州市場への優遇アクセスも受ける。
- 投資と将来の繁栄に関する別協定で「世界規模の開発パッケージ」を得る。
- 経済回復、復興、人道支援の基金を複数創設し、総額8000億ドル規模の動員を目指す。
- 米国との自由貿易協定(FTA)締結を加速(米国側は、ウクライナに自由貿易アクセスを与えるならロシアにも同等条件を目指す立場とされる)。
- 核不拡散条約(NPT)に沿い、非核国家であることを確認。
- ザポリージャ原発:米国案は米国・ウクライナ・ロシアの3者同率出資で共同運営し、米国が主要管理者。キーウ案は米国とウクライナの50-50共同運営で、電力の半分をウクライナが受け取り、残り半分は米国が独自に配分。
- 異文化理解と寛容を促す教育プログラムを学校・社会で実施し、人種差別や偏見をなくす。EUの宗教的寛容、少数言語保護の規則も実施。
- 領土:最も複雑で未解決。ロシアはウクライナが東部ドネツクで保持する地域からの撤退を要求。キーウは現行の戦線で戦闘停止を主張。米国は非武装地帯や、キーウ側支配地域での自由経済区を提案。
- 将来の領土取り決めで合意後、双方は武力で変更しない。
- ロシアはウクライナのドニプロ川・黒海の商業利用を妨げない。航行と輸送の自由を含む海上・アクセス協定を別途締結。キンバーン砂州は非武装化。
- 人道委員会を設置し、(a)捕虜の「全員対全員」交換、(b)民間拘束者・人質(子どもを含む)の帰還、(c)被害者の苦痛への対応を扱う。
- 署名後、できるだけ早期に選挙を実施する。
- 合意は法的拘束力を持ち、「平和評議会」が履行監視と保証を担う。議長は米国のドナルド・トランプ大統領。ウクライナ、欧州、NATO、ロシア、米国が参加し、違反には制裁を適用。
- 全当事者が合意すれば、全面停戦が即時発効。
「公の場で語るのは不適切」――ロシア側の反応
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は24日、20項目の和平案を公に議論したり、メディアを通じてやり取りしたりするのは不適切だと述べたとされています。米国はロシアの基本的立場を明確に理解しているとも発言しました。
また、米国との二国間協議(フロリダで行われたとされる)について、ウラジーミル・プーチン大統領が詳細な報告を受けているとし、報告結果を踏まえてロシアが立場を判断し、近い将来ワシントンとの接触を継続する考えが示されたといいます。
読み解きのポイント:停戦の「条件」と「保証」が同時に問われる
今回の枠組み案は、停戦そのもの(20項目目)に至る前に、監視(宇宙ベース無人監視)、保証(第5条に似た安全保障)、復興(8000億ドル規模)、人道(捕虜・子どもを含む帰還)といった“戦後の秩序”を同時に設計しようとしている点が特徴です。
一方で、ドンバスの線引きとザポリージャ原発の運用は、戦闘の最前線と直結し、政治・安全保障・経済が絡み合う難題です。合意が実際に成立するかどうかは、これらの未決着をどう収れんさせるかにかかっています。
Reference(s):
Zelenskyy unveils 20-point peace proposal for the first time
cgtn.com








