トランプ氏「インドはイランでなくベネズエラ産原油を買う」発言の波紋
2026年1月31日、トランプ米大統領が「インドはイランではなくベネズエラの原油を買うようになる」と述べ、エネルギー調達をめぐる国際ニュースに新たな論点が加わりました。背景には、インドのロシア産エネルギー依存の見直しと、米国によるベネズエラ石油産業への関与の強まりがあるとされています。
何が起きたのか:機上での発言
トランプ大統領は1月31日(現地時間)、大統領専用機エアフォースワン機内で記者団に対し、次のように語りました。
- 「(インドは)イランから買うのではなく、ベネズエラの原油を買うことになる」
- 「すでにそのディール(合意)の“コンセプト”はできている」
この発言は、米国がインドに対し「ベネズエラ産原油の購入を近く再開できる」と伝えていた、という先行報道を裏づける形だとされています。
ベネズエラをめぐる米国の動き:関与の強まり
今回の話題が注目される理由の一つは、ベネズエラの原油ビジネスに対する米国の姿勢が、ここ1年ほどで大きく踏み込んでいる点です。
- 2025年3月:トランプ大統領は、インドを含む「ベネズエラ産原油を輸入する国」に対して25%の関税を課した
- 2026年1月3日:米軍の行動により、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が強制的に拘束されたとされる
- その後:ワシントンは、ベネズエラの石油産業への統制を強めているとされる
トランプ大統領は同日、ベネズエラ側の指導部と「非常にうまくやっている」とし、さらに「米国はベネズエラ原油の利益の一部を得る」との趣旨も述べました。
インド側の事情:ロシア産の比率を下げる「次の一手」
インドは、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ戦争以降、値引きされたロシア産原油の輸入を増やしてきました。一方で、欧米の制裁が強まるなか、供給先の分散を進める必要に迫られている構図があります。
インドのハーディープ・シン・プリ石油・天然ガス相は2026年1月23日、2022年2月以降に急増した「ある一つの供給源」からの供給が、いまは緩んできていると述べたとされています。
関税の圧力も
報道によれば、トランプ大統領は2025年8月、インドがロシア産原油を購入していることを理由に、インド製品に25%の懲罰的関税を課し、合算で最大50%に達したとされます。インドが「代替調達先」を急ぐ動機として、こうした通商面の圧力も意識されます。
今回の発言が示すもの:原油は“商品”であり“外交カード”でもある
原油は価格や供給量だけでなく、制裁、関税、同盟関係、地域情勢と結びつきやすい資源です。今回の「インドがベネズエラへ」という話が現実の取引として進めば、次のような変化が起こり得ます。
- インド:調達先を増やし、価格交渉力を確保しやすくなる
- 米国:制裁・関税と資源取引を組み合わせ、国際市場への影響力を強める余地
- ベネズエラ:輸出先の確保と収益構造が、米国の関与の下で再編される可能性
一方で、トランプ大統領の言う「ディールのコンセプト」が、具体的にどの量・価格・契約条件で進むのかは、現時点では見えません。実務面では、制裁や関税の取り扱い、決済・保険・輸送などの要素が、取引の実現性を左右しそうです。
今後の注目点:発言が“契約”に変わるか
2月以降、次のポイントが注目されます。
- インド政府・国営企業が、ベネズエラ産原油の購入再開を公式に認めるか
- 米国が2025年3月に導入した関税措置を、どう整理するのか
- ロシア産原油の輸入が、数量としてどの程度減っていくのか
- 「米国がベネズエラ原油利益の一部を得る」という枠組みが、どの形で制度化されるのか
資源の流れは、国際政治の温度差をそのまま映します。今回の発言は、その“流れ”が2026年に入り、また一段と組み替わり始めていることを示すシグナルと言えそうです。
Reference(s):
Trump says India will buy oil from Venezuela instead of Iran
cgtn.com




