DRコンゴ東部ゴマで希望をつなぐ「ELLE FM」―紛争下でも放送を止めない理由 video poster
【2026年2月18日】武力衝突の影が色濃いコンゴ民主共和国(DRコンゴ)東部ゴマで、ラジオ局「ELLE FM」が地域の“いま”を伝え続けています。略奪や襲撃を経験しながらも、情報と希望の拠り所として放送を守る姿が注目されています。
ゴマの日常に溶け込む「午前の番組」
ELLE FMはゴマ中心部に拠点を置き、住民にとって欠かせない情報源になっています。中でも午前の帯番組は、音楽などのエンタメ要素と、生活に直結するニュースを組み合わせた構成で、街の“いつもの時間”を支えています。
一方で、現地は現在M23の管理下にあるとされ、地域メディアが活動を続けるだけでも緊張が伴います。情勢が揺れる環境では、取材の自由や移動の安全、発言の萎縮など、日々の判断が積み重なって番組の形を左右します。
「最初の被害者になりやすい」—放送現場の切実な声
ELLE FMの司会者ローズ・マテさんは、紛争下で働くジャーナリストの脆さを率直に語ります。
「治安危機や武力衝突が起きると、メディア関係者が最初の被害者になることが多い」とし、「表現の自由は本来保障されるべきですが、いまはそうなっていない。こうした状況で中立を保つことは難しい」と述べています。
それでもマテさんは、「極めて危機的な状況でも、私たちは偏った立場を取る義務はない。仕事は住民に情報を届け続けること。人々が必要としているのは変化と平和の担い手だ」と言います。
「知らないことを減らしてくれる」—住民がラジオに託すもの
ゴマでは以前から、ラジオは生活に密着したメディアでした。住民のゲルショム・カテンボさんは、宗教・経済・文化・政治まで、幅広い話題に触れられる点を挙げ、「無知を乗り越え、地域全体の役に立つ知識を得られる」と話します。
また、ビジネスマンのロドリグ・バハティさんは、ラジオの重要性を認めつつも、「残念ながらラジオ機器が以前ほど売られていない。理由は分からないが、街にお金がなくなってきたからかもしれない」と、生活の厳しさもにじませました。
3年間の積み重ね—襲撃を越えて続く放送
ELLE FMは設立から3年(2026年2月時点で約3年)とされ、この間に襲撃や略奪を経験してきました。さらに、この3年間の紛争を通じて、現地ではジャーナリストが逮捕されたり、命を落としたりする事例もあったとされます。取材と発信は、日常業務であると同時にリスクを伴う行為でもあります。
それでも局は、コミュニティに向けて「正確な情報を届ける」ことを軸に据えています。番組づくりは次のような要素の綱渡りになります。
- 不確かな情報が広がりやすい環境で、確認を重ねて伝える
- 緊張をあおらず、必要な注意喚起をどう行うかを選ぶ
- 強い分断の中で、言葉が誰かの危険につながらないよう配慮する
情報が「ライフライン」になる場所で
紛争地域のメディアは、しばしば対立の“間”に置かれます。その中でELLE FMが示しているのは、派手な主張ではなく、途切れない更新です。停電や不安、圧力の中でも、今日のニュースを伝え、明日の暮らしの判断材料を残す。
暗い状況ほど、情報は希望として作用することがあります。ELLE FMが鳴らし続ける音声は、ゴマの住民が「世界とつながっている」と感じる細い糸でもあるのかもしれません。
Reference(s):
ELLE FM: Radio station becomes beacon of hope in eastern DR Congo
cgtn.com








