ケニアのマンゴー農家、輸出低迷と収穫後ロスで苦境 video poster
ケニアでマンゴーが豊作でも売れない——。2026年のこの収穫期、輸出需要の弱さと流通の脆弱さが重なり、畑で熟した果実が行き場を失う状況が広がっています。
東部マクエニ県「木は実っているのに、落ちていく」
東部ケニアのマクエニ県では、木々がたわわに実をつける一方、収穫された(あるいは収穫しきれない)マンゴーが地面に落ち、商品として出荷されないまま失われるケースが目立つといいます。
農業普及員(アグリカルチャル・エクステンション・オフィサー)のデニス・ムオキ氏は、現場の難しさをこう語ります。
「マンゴーはたくさんありました。でも、その時は持っていく場所がなく、農場の木の下に散らばるだけでした」
買い手不足:仲買・輸出・加工の“いつもの出口”が細くなる
ケニアのマンゴーは、主に仲買人(ブローカー)への販売、輸出、または加工を通じて市場に出ていきます。しかし今季は、農家側の証言として「買い手が少ない」状況が語られています。
加えて、品質面のハードルもあります。農家のドミニク・ンドゥバ氏は、干ばつの影響でサイズが十分に育たなかったとした上で、次のように述べました。
「この季節は、干ばつの条件でサイズがあまり大きくならないという課題がありました。ある分も、買い手が選んで持っていったのはごく一部でした」
数字で見る:年70万トン超の産地でも、最大45%が失われ得る
提示された情報によれば、ケニアのマンゴー生産量は年間70万トン超。アフリカではマラウイ、ナイジェリア、エジプトに次ぐ第4位とされ、産業規模は7,700万ドル超、20万人超の小規模農家を支えているといいます。
一方で、ケニア農業・畜産研究機関(KALRO)は、市場の制約と取り扱い(ハンドリング)の不備により、マンゴーは最大45%が失われる可能性があると推計しています。
「作る」だけでは届かない:不足が指摘される3つのインフラ
収穫後ロス(ポストハーベスト・ロス)を減らすために、現場で急がれる論点は大きく次の3つです。
- 保管:鮮度を保てず、出荷までに傷む
- 輸送:集荷・輸送の遅れや衝撃で品質が落ちる
- 加工:生食で売れない分を吸収する受け皿が足りない
加工で活路も、能力不足と「ライセンスが高い・遅い」という壁
一部の加工業者は、マンゴーを乾燥チップやピューレにして輸出する取り組みを進めています。たとえばイビアニ・ファーム(Iviani Farm)は加工による付加価値化を試みていますが、農家側からは加工の受け入れ能力が限られることが課題として挙がります。
また、同農場のファームマネジャー、ジョン・スタンリー氏は、需要そのものよりも市場アクセスの条件面を問題視します。
「市場はあると思います。ただ、生産者や加工業者が市場にアクセスしにくい一番の課題はライセンスです。時間がかかるし、費用も高い」
“売れ残り”が示すもの:需要だけでなく、つなぐ仕組みの問題
畑に実がありながら収入につながらない——このねじれは、輸出需要の弱さに加えて、鮮度を保って運び、規格に合わせ、余剰分を加工で吸収するという一連の仕組みが細くなったときに表面化します。
この収穫期に起きていることは、農家・仲買・加工・許認可の各段階が、同じ果実を前にして別々のボトルネックを抱えている現実を静かに映しています。
Reference(s):
Kenyan mango farmers hit by post harvest losses, low export demand
cgtn.com








