南アフリカでハンタウイルスの「ヒト・ヒト感染」を確認。クルーズ船での集団感染が波紋
通常は野生動物から感染する「ハンタウイルス」が、クルーズ船という密閉空間で人から人へ伝播した可能性が浮上し、国際的な公衆衛生上の懸念となっています。
クルーズ船での集団感染と南アフリカでの確認
国際的なクルーズ船「MV Hondius号」において、深刻な急性呼吸器疾患のクラスター(集団感染)が発生しました。南アフリカのアーロン・モトソアレディ保健相が議会で報告したところによると、同船から下船した乗客2名から、人から人への伝播が可能な「アンデス株」のハンタウイルスが検出されました。
この船は2026年3月20日にアルゼンチンのウシュアイアを出港し、カーボベルデ経由でカナリア諸島へ向かうルートを辿っていました。船内ではすでに2名の死亡者が報告されており、1名が重篤な状態にあるとのことです。
被害の現状とリスクの広がり
今回の事例では、国境を越えた感染の広がりが懸念されています。
- 重症者の発生:イギリス人観光客が陽性となり、サンドトン(南アフリカ)の民間病院へ緊急搬送されましたが、依然として危篤状態にあります。
- 空港での急変:オランダへの乗り継ぎ中に、ヨハネスブルグのO.R.タンボ国際空港で倒れた旅行者が、その後医療施設で死亡した事例も報告されています。
「ハンタウイルス」とはどのような病気か
ハンタウイルスは、主にネズミなどのげっ歯類の排泄物、唾液、尿に触れることで人間に感染する「人獣共通感染症」です。通常、人から人へ感染することは極めて稀ですが、今回検出された「アンデス株」は例外的に、密接な接触を通じて限定的に伝播することが過去の事例で報告されています。
主な症状は以下の通りです:
- 発熱
- 強い倦怠感
- 筋肉痛
- 呼吸困難(深刻なケースでは急性呼吸器不全に至る)
国際社会の連携と今後の対応
WHO(世界保健機関)やアフリカ疾病対策センター(Africa CDC)は、この状況を厳重に監視しています。南アフリカ、カーボベルデ、オランダ、スペイン、イギリスの当局が連携し、症例の調査、患者の隔離、臨床管理、そして精密な検査などの共同対応を開始しました。
南アフリカ国立伝染病研究所(NICD)での確認に加え、WHOの支援を受けてセネガルのパストゥール研究所へサンプルを送付し、遺伝子配列の解析などの詳細な分析が進められています。
私たちはどう向き合うべきか
モトソアレディ保健相は、現時点で地域社会における広範な感染は確認されておらず、「パニックになる必要はない」と強調しています。当局は現在、感染者や死亡者と接触した可能性のある人々を追跡し、影響範囲の特定を急いでいます。
密閉された船内という特殊な環境が、ウイルスの伝播に影響を与えた可能性は否定できません。旅行者の間では、基本的な衛生管理の徹底と、帰国後や旅先で呼吸器系の症状が出た場合の迅速な受診が改めて重要視されています。
Reference(s):
South Africa detects human-to-human transmission of hantavirus
cgtn.com



