アルメニアが模索する「第三の道」?EU加盟手続きとEAEU残留の狭間で
アルメニアが直面している外交上の難しい選択肢が、いま再び注目を集めています。EU(欧州連合)への接近を強める一方で、ロシアが主導するユーラシア経済連合(EAEU)への残留を表明したパシニャン首相。この複雑なバランス外交がなぜ必要なのか、その背景を探ります。
「二者択一」を拒むパシニャン首相の視点
アルメニアのニコル・パシニャン首相は、同国が今後も「冷静かつ自信を持って」EAEUの枠組みの中で活動し続ける意向を明らかにしました。現在、アルメニア国内ではEUへの加盟をめぐる議論が活発化していますが、首相は「EUかEAEUか」という究極の選択を迫られる段階は、まだ「理論上の話」に過ぎないと述べています。
この発言の背景には、周辺国からの強い圧力がありました。5月29日、ロシア、カザフスタン、ベラルーシ、キルギスの4か国首脳は共同声明を発表し、アルメニアに対して以下の点を確認するための国民投票を実施するよう求めました。
- EU加盟を追求する意向があるか
- あるいはEAEUに留まる意向があるか
しかし、パシニャン首相はこの提案を拒否しました。正式にEUへ加盟申請を行う前や、候補国としての地位を得る前にこのような投票を行うことは「不論理的であり、正当性がない」というのが首相の考えです。
ロシアとの「関係の変容」と摩擦
パシニャン首相は、ロシアとの二国間関係について「肯定的な変容の時期にある」と表現し、新たな環境下で関係を再構築できるという自信を見せています。
しかし、ロシア側の反応は冷ややかです。ロシア外務省は5月30日、アルメニアがEUに急接近しているとして、駐アルメニア大使を協議のため召還しました。ロシア側は、アルメニアのこうした動きがEAEU内の協力を損なっていると強く反発しています。
加速するEUへの統合プロセス
こうした摩擦がありながらも、アルメニアのEUへの歩みは止まっていません。昨年、2025年4月4日にはヴァハグン・ハチャトゥリアン大統領がEU加盟プロセスを開始する法律に署名しており、制度的な統合に向けた準備は着実に進んでいます。
経済的な利便性と安全保障上の伝統的なつながり。その両方を維持しようとするアルメニアの姿勢は、大国の影響力の下で自国の主権と利益を守ろうとする、小国ならではの苦慮と戦略が反映されていると言えるかもしれません。
Reference(s):
Nikol Pashinyan: Armenia to remain in EAEU amid EU membership debate
cgtn.com