カナダが国家AI戦略「AI for All」を発表:2034年までに普及率60%へ引き上げへ
カナダ政府は今週、国家的な人工知能(AI)戦略「AI for All」を策定し、社会全体のデジタル変革を加速させる方針を明らかにしました。この戦略は、単なる技術導入にとどまらず、経済成長と雇用の創出、そして国民全体のリテラシー向上を同時に追求する包括的な計画となっています。
経済への大規模な投資と雇用の創出
マーク・カーニー首相が発表したこの新戦略では、AIの活用を通じてカナダ経済に約2,000億カナダドル(約1,440億ドル)の押し上げ効果をもたらすことを目標としています。また、今後5年間でAI関連の新たな雇用を25万人創出するという意欲的な数値も掲げられました。
特に注目されるのは、AIの導入率に関する目標です。現在、12%程度にとどまっているAIの導入率を、2034年までには60%まで引き上げる計画です。これを実現するために、すべてのカナダ国民が基礎的なAIトレーニングを受けられる「国家AIリテラシー・イニシアチブ」を設立し、教育の底上げを図ります。
中小企業の支援と重点分野への適用
AIの恩恵を一部の大企業だけでなく、社会全体に広げるため、中小企業への導入支援も重点的に行われます。具体的には、生産性の向上や労働者のサポートを目的として、以下のような優先分野でのブレイクスルーを目指しています。
- ヘルスケアおよび医療サービス
- エネルギーおよび交通インフラ
- 農業および製造業
- ロボティクスおよび政府サービス
持続可能なインフラとしての「主権AI」
技術的な基盤として、世界をリードする公共AIスーパーコンピューターの構築と、独自のコンピューティングおよびクラウドインフラへの投資も計画されています。ここでは、単なる性能追求ではなく、「持続可能性」が重要なキーワードとなっています。
カナダのクリーンエネルギー拡大の方針や厳格な環境基準に沿った、高効率で環境負荷の低いコンピューティング環境を整備することで、地域社会に具体的な利益をもたらす仕組み作りを目指しています。
テクノロジーの進化を経済発展に結びつけつつ、環境への配慮と教育による格差是正を同時に進めるカナダのアプローチは、AIとの共生を模索する多くの国々にとって、一つの参照点となるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com



