トランプ米大統領の移民政策で揺れる米国の合法移民 video poster
米国でトランプ米大統領による移民摘発と大量送還が進むなか、法的な滞在資格を持つ人たちまで強い不安にさらされています。ヒスパニック系コミュニティが揺れる現状を、カリフォルニアで暮らす一人の合法移民の視点から見ていきます。
合法移民も安心できない現実
今回、国際ニュースを伝えるメディアの一つであるCGTNのアラスデア・ベイバーストック記者は、カリフォルニアに住む一人の女性に話を聞きました。彼女は現在、米国で合法的に暮らすことを認められている「保護された移民」の一人です。
それでも彼女は、自身の在留ステータスが「いつでも変えられてしまうのではないか」と恐れています。政府の方針一つで、これまでの保護が弱められたり、条件が厳しくなったりする可能性があると感じているからです。
彼女が不安に感じているポイントは、次のようなものです。
- 移民政策の変更によって、突然これまでの保護が縮小されるかもしれないこと
- 新たな移民摘発の対象に、自分や家族が含まれてしまうかもしれないこと
- 政策の運用しだいで、地域社会が一気に緊張状態に陥るかもしれないこと
法律上は「守られている」はずの人であっても、その保護が政治や世論の影響を受けやすいものであれば、日常の安心感にはつながりにくいという現実が浮かび上がります。
ヒスパニック系コミュニティに広がる見えない緊張
こうした不安は、彼女一人のものではありません。トランプ政権の厳しい移民政策のもとで、多くのヒスパニック系コミュニティが「常に緊張した状態」に置かれているとされています。
移民摘発や大量送還の動きが加速すると、地域で起きる変化は次のような形で現れがちです。
- 職場や学校、公共の場で、当局との接触を極力避けようとする空気が強まる
- 家族や友人の誰かが突然連れて行かれるのではないかという恐れから、日常の会話にまで不安がにじむ
- コミュニティ全体が「見えないストレス」を抱え、精神的な負担が長期化する
「自分は合法的なステータスを持っているから大丈夫」とは、もはや言い切れない。そうした感覚が、ヒスパニック系を中心とした人びとの心に広がっていることが、今回の取材から伝わってきます。
「合法か不法か」だけでは語れない移民政策
移民をめぐる議論では、しばしば「合法か、不法か」という二分法が強調されます。しかし、トランプ米大統領の移民政策のもとで揺れる人びとの姿は、その線引きだけでは現実を説明できないことを示しています。
たとえ制度上は合法であっても、次のような要因が不安を増幅させます。
- 移民制度そのものが、政治情勢に応じて変わりやすいこと
- 現場の取り締まりの運用が、法律の文言よりも厳格になることがあること
- 社会全体のムードが変化し、「移民」に対する視線が冷たくなること
つまり、法的な分類としての「合法移民」と、日々の暮らしの中で感じる「安心して暮らせるかどうか」は、必ずしも一致しません。ニュースとして移民政策を追う際には、このギャップに目を向けることが大切になってきます。
日本の読者として考えたい視点
遠い国の出来事のように思えるかもしれませんが、「政策の変更によって、ある日突然、自分の生活基盤が揺らぎかねない」という感覚は、多くの社会に共通するものです。
今回の米国の事例から、私たちが考えられそうなポイントを三つ挙げてみます。
- 制度は常に変わりうるという前提で、弱い立場の人びとにどんな影響が出るかを想像してみること
- 数字や法律の文言だけでなく、一人ひとりの生活の物語に耳を傾けること
- 自国のニュースだけでなく、国際ニュースを通じて価値観を相対化してみること
トランプ米大統領の移民政策に揺れる米国の合法移民たちの不安は、「法の下の平等」や「安心して暮らす権利」といった普遍的なテーマをあらためて問いかけています。
あなたなら、どのような移民政策が「公正」だと感じるでしょうか。身近な人と意見を交わしたり、SNSで記事をシェアしたりすることが、次の議論のきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
Legal migrants in U.S. nervous about Trump's immigration policies
cgtn.com








