春節ガラで蘇る漁師の唄——遼寧・長海県「海への呼びかけ」 video poster
春節(旧正月)が近づく2026年1月、遼寧省・長海県の漁師たちが受け継いできた“海の掛け声”を、家族で舞台に乗せた男性の取り組みが静かな注目を集めています。世代を超えて口伝されてきた旋律を、現代の「村のガラ(村の年越し行事)」で響かせた出来事です。
何があった? 2025年の「除夕」に家族で披露
伝えられているところによると、遼寧省の島しょ部を抱える長海県で、劉玉来(Liu Yulai)さんが地元の漁師の唄(チャント)を長年学び直し、旋律を整えながら次世代につなぐ活動を続けてきました。
そして2025年の中国の大みそか(除夕)、劉さんは家族とともに村の春節ガラで「Shout to the Sea(海への呼びかけ)」を披露。海の仕事と暮らしが生んだ節回しを、いまの舞台表現として届けたといいます。
「漁師のチャント」とは:歌というより“海の合図”
長海県の漁師のチャントは、鑑賞用の歌というより、共同作業の呼吸を合わせるための“声”に近い存在です。波音や風のなかでも届くように、短いフレーズを繰り返したり、呼びかけと応答の形をとったりするのが特徴とされます。
海の現場で育った、3つの役割
- 作業の同期:網を引く、船を寄せるなど同時動作のタイミングを合わせる
- 安全の確認:合図として機能し、注意喚起にもなる
- 記憶の継承:土地の言葉、海の経験、家族の物語が旋律に折り重なる
なぜ「いま」ガラの舞台に載せるのか
口伝の文化は、担い手が減ると急速に薄れていきます。一方で、村の春節ガラのような“みんなが集まる場”は、古いものを博物館に閉じ込めず、生活の時間に戻す装置にもなります。
劉さんが家族と一緒に演目として届けたことは、技術の保存だけでなく、「誰の記憶として残すのか」という点でも象徴的です。家族の声で歌われることで、伝承が個人の趣味ではなく共同体の出来事として共有されやすくなります。
変わる部分、変えない部分:伝統の“再活性化”という選択
伝統を現代に届けるとき、完全な再現を目指す方法もあれば、場に合わせて表現を整える方法もあります。今回のようにガラの舞台に乗せる試みは後者に近く、そこには「変えてはいけない核」と「変えてもよい器」を見分ける感覚が求められます。
例えば、旋律や言葉の骨格は残しつつ、舞台の尺や構成を調整する。あるいは、家族という最小単位から練習と共有を始め、地域の輪へ広げていく。そうした積み重ねが、海の文化を“過去形”にしないための現実的な道筋になり得ます。
読み終えて残る問い:私たちは、どんな声を未来に残す?
「海への呼びかけ」は、古い唄が“そのまま残る”というより、別の形で生き直す瞬間を映しています。年に一度の祝祭が、土地の記憶の避難所にも、再出発の舞台にもなる——そんな見方ができそうです。
Reference(s):
cgtn.com








